鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読むのに時間がかかったのは翻訳のせい?:読書録「9プリンシプルズ」

・9プリンシプルズ 加速する未来で勝ち残るために
著者:伊藤穰一、ジェフ・ハウ 訳:山形浩生
出版:早川書房Kindle版)

9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために

9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために


MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏の本格的初著作(共著ですが)ということで、割と出版してすぐにDLしたんですがね。
結構読み終えるのに時間がかかっちゃいました。
翻訳が今ひとつ?
そういう書評も読みましたが、むしろ著者が紹介してくれる世界や人々の考え方・姿勢が、僕の理解度を超えてることが多い…ってのが一番の理由じゃないか、と。
早い話、
「勝ち残れないんじゃないの?」
ってことですがw。


「9プリンシプルズ」として挙げられるのは以下です。


1 権威より創発
2 プッシュよりプル
3 地図よりコンパス
4 安全よりリスク
5 従うより不服従
6 理論より実践
7 能力より多様性
8 強さより回復力
9 モノよりシステム


このスタンスに関しては、そんなに理解が難しいわけじゃないし、加速度的に変化が、広範囲に起きている現代社会において重要なポイントであることも理解できます。
よく分かんなかったのは、それぞれのプリンシプルの「具体例」として挙げられている事例の方なんですよね。MITが関与している
かなり先端の事例なんかも豊富に紹介されているようなんですが、こっちの知識に「取っ掛かり」がなさすぎて、「それのどこがすごいのか?」にピンと来ない話が、あれやこれや。
個人的にはバイオ分野が特にだったんですが、そこがまた一番の先端だったりするんですよねw。


ただ本書は「訳者あとがき」がイイです。
本書のポイントを押さえつつも、「疑念」も提示し(果たしてITは本当に生産性に寄与してきたのか?)、その中で挙げられているプリンシプルズがどういう意味を持つと考えられるのか。
結構踏み込んでまとめてくれていると思います。
本書の価値は紹介される「先端事例」にあるとは思うんですが、全体の「見取り図」としてこの「あとがき」は意味があるんじゃないかと。
「9プリンシプルズ」をこんな風に置き換えてるところなんかもね。


<・自然発生的な動きを大切にしよう
・自主性と柔軟性に任せよう
・先のことはわからないから、大雑把な方向性で動こう
・ルールは変わるものだから、過度にしばられないようにしよう
・むしろ敢えてルールから外れてみることも重要
・あれこれ考えるより、まずやってみよう
・ピンポイントで総力戦やっても外れるから、取り組みもメンバーも多様性を持たせよう
・ガチガチに防御をかためるより回復力を重視しよう
・単純な製品よりはもっと広い社会的な影響を考えよう>


一言で言えば、「変化を面白がろう」かな?
この歳になって、なかなかそれも難しいんですが、その「姿勢」は大切にしたい。
そう思う時の「コンパス」として、本書は意義があるのかもしれませんね。


よく分からんかったけどw。