鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

PDCAが組織にもたらすもの:「PDCAプロフェッショナル」

PDCAプロフェッショナル トヨタの現場×マッキンゼーの企画=最強の実践力
著者:稲田将人
出版:東洋経済新報社Kindle版)


個人的な最近のテーマの一つである「基本的なビジネススキル・概念の言語化の勉強」シリーズwの一貫。
「鬼速PDCA」に続いて、「PDCA」です。


「わかりやすさ」という意味では「鬼速PDCA」ですかね。
ただ本書の場合、「現場でのPDCA」が「経営のPDCA」にフィードバックしていくことで、組織全体のPDCAが精度を上げ、進化していくという点が整理して説明されていて、これは「確かにな」と思いました。


経営>部門>現場>担当者


それぞれでPDCAは回すものですが、どうしても「経営方針」から「目標」が設定され、それが「施策」となって打ち出されることから、PDCAも「上」から「下」という構図になりがち。
大枠は勿論そうなんですが、PDCAの基本は現場の担当者が回すもの。この「C」「A」が現場での「P」を進化/深化させるとともに、それが上のレイヤー(経営・部門)の「C」「A」にフィードバックされることで、経営のPDCAそのものが進化/深化する。
このことが「組織としての実践力を引き上げる」っていうのは非常に重要な視点でしょう。
見方を変えれば、現場・担当者の実践力(PDCAを回す力)が上がらなければ、組織の実践力も上がらず、現場でPDCAが回ってない組織におけるPDCAは「実践力」となり得ないという…考えてみたらその通りなんですが、実に耳の痛い話でもあります。
だからこそ、
<人を大切にする>=<PDCAを廻す主体となる社員を大事にすることが大前提で、みなが能力アップする企業文化を作ること>
が重要なんですな。
「人材が育成すれば、その分だけ組織も成長する」
「学び」の重要性はここにあるし、それは「実践力」=「PDCAを回す力」を向上させるための「学び」になるわけです。(ビジネスですからね)


<かつてプラトンが、ギリシア没落の原因を「欲望の肥大化と悪平等主義、そしてエゴイズムの氾濫」と説明しました。遥か古代から現代に至るまで、組織を衰退させていく要因は変わりありません。これらを封じ込めることができるのがPDCAの精度を上げることになります>


「他責」がはびこる「弱さ」が人間にはあり、そこを直視して、その「根」を断たなければ、組織は弱体化せざるを得ない。


<「人、性善なれど、性怠惰なり」>


重い指摘であるとともに、肝に命じることでしょうね。自分自身にとっても。
そしてその「性怠惰」の部分をカバーするのがPDCAであり、そのことによって人の「性善」なる部分が組織としての理念の中に生かされてくる。
いい整理の仕方じゃないかな、と思います。


実際にコンサルティングや企業再生をしてきた人だけに、実際のPDCA取り組みの具体例も出ていますが、具体的すぎて、ちょっと自分には合わないケースもあるかもw。
ただファッション関係の営業マネージャーの事例なんかは、「D」の部分は単に「やること」じゃなくて、「行動」が定義され、「スケジュール」の中に落とし込まれることで始めて「D」となりうるんだな、という意味で参考になりました。


まあとにかくPDCAを回すことを意識していきませんとね。
その中で失敗を繰り返しながら、「学び」を活かし、各層でのPDCAの精度を上げていきながら、「実践力」を引き上げていく。
「答え一発」
みたいなモンはないってことですw。