鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

いかん。「積ん読」本が増える:読書録「翼を持つ少女」

・翼を持つ少女 BISビブリオバトル部1<上・下>
著者:山本弘
出版:創元SF文庫


息子が学校で「ビブリオバトルした」って話を聞いてて、「面白そうだなぁ」と思ってたところに、書店で見かけたのが本作。
息子も読めるかな、と思って購入しました。
…で、一気読み。
いやぁ、ハマったわw。
僕はハミルトン派じゃなくて断然バローズ派だけど、「キャプテン・フューチャー」の主題歌(「夢の舟乗り」)は大好きですし。


正直言って、「BIS」という学校の設定は「理想的」過ぎるし、登場人物たちの二つ名はテンション下げますが(「双面の話者」(ヤヌス・トーカー)ってw)、「ビブリオバトル」という「ツール」を使って本の紹介をしつつ、そこから「世界」への問いかけをするってのは、なかなか面白いです。
北村薫に代表される「日常ミステリ」が「日常」の中から、「世界」を問い直しているように、ですね。


本作のクライマックスは「若き人種差別主義者」との対決。
その「勝敗」で溜飲を下げるのに止まらず、


<いいか、世の中で最も危険な思想は悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感と言う歯止めがあるが正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。>


と、「溜飲を下げた」ことへの問題提起もキッチリしています。
ま、目新しい論理じゃありませんが、このバランス感が「大人」。
主人公サイドの「上から目線」がちょっと鼻についたところに、こう言う水を差すのは良いですね。多少、物語の「勢い」を削いでも。


とはいえ、「危険な本」ですよ、これは。
だって取り上げられてる本が読みたくなるじゃないですかw。
「やばい」
と思って、出来るだけ抑えたんですけど、読み終えた時には僕のAmazonのWishリストには、既に何冊か追加されてます。
一番読みたいのはムーアの「大宇宙の魔女」(松本零士のイラスト付き)ですがw、まずは「フェッセンデンの宇宙」かな。
しかし「小学4年生の世界平和」も捨てがたく…
と言うふうに頭が回っちゃうのがいけません。
これをアマゾンで注文しちゃったら際限がないんで、午後はリアル書店を回って、「あったら」購入しようかと。


しかしこのシリーズ、3巻まで出てるらしいんですよね。もう。
そっちも危険だなぁ…。