鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

実に参考になります:読書録「『タレント』の時代」「トヨタの強さの秘密」

・「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論


・トヨタの強さの秘密 日本人の知らない日本最大のグルーバル企業


著者:酒井崇男
出版:講談社現代新書(Kindle版)


ちょっと今持っている「問題意識」を考える上で、「設計情報」っていう考え方が参考になるんじゃないかと、読んでみた作品。
「トヨタの強さの秘密」が出版されてちょっと評判になってるのが紹介されたのに前作が出てて、そっから読んだんですが、そもそも「設計情報」と「収益」の結びつきを読んだのが前作が出版された時の紹介記事だったのかもw。
それくらい「問題意識」にドンピシャの作品でした。(前作は。「トヨタの強さの秘密」はそこから「トヨタ」にフォーカスした作品ですが、重複も多くて、「再確認」にはなりましたが、インパクトは前作に落ちました)


要は、
「付加価値を生み出すような働き方やビジネスの仕組みは、どうやって構築すればいいのか?」
ってのがポイントです。
で、現代においては「付加価値」は「情報と知識に基づいて作成された設計情報やノウハウ」などに生まれる。その「設計情報」や「ノウハウ」を生み出す、「創造的知識労働」こそが重要なのだ。
では、その「創造的知識労働」をどうやって組織に中に定着させていくのか…
ま、そんな感じでしょうか。


これをトヨタは「TPD+TPS」という、「トヨタ流TQM」に支えられた仕組みで実現しています。
TPS(トヨタ式生産方式)は有名ですが、実は「TPD」こそが肝であり、「主査制度」によって支えられた「TPD」からこそ、現在のトヨタの収益の大半は創出されており、シリコンバレーを中心とした米国のITビジネスはそれを取り入れ、グローバルビジネスにおいて成功を収めている…という訳です。
まあ、個人的に「グローバル」ビジネス云々はどうでもいいんですがw、「付加価値」をどこから導き出すか、そのための働き方や考え方、求められる人材の定義…といったところで、刺激になるものがありました。


作者は人材をこんな風に定義しています。


<①複数分野の知識あり、創造的知識労働、目的的・改革・改善・地頭・洞察・未知を既知に変える能力ータレント
②知識あり・定型労働、既知の事実を確実にこなすープロフェッショナル
③知識あり・定型労働、特定分野の知識に詳しい専門家ースペシャリスト
④知識なし・定型労働+改善能力(非定型労働)ー改善ワーカー
⑤知識なし・定型労働ーワーカー>


もちろん「タレント」が現代においては「収益」を生み出しているんですが、誰もがなれるもんではないですな、これは。だって実例は「スティーブ・ジョブズ」ですぜw。(ちなみにアップルは「設計情報」に収益を集約させた典型的企業です)
しかし自らを省みて単なる「ワーカー」となっていないか、「定型労働」は「ビジネスを生み出す」労働ではないのだ(プロフェッショナルであれ、スペシャリストであれ)という自己点検は必要なんだと思うわけです。
自分の「働き」を考える上においてね。


ちなみに「『タレント』の時代」では作者は「金融ビジネス」を「タレント」を要しないビジネスとして例示しています。
「金融商品」を考えれば、確かにそうかも(「商品」に「収益」が組み込まれる…という観点では、そうなります)。
でも「ビジネス」の構図を、「金融商品を売る」のではなく、「ライフコンサルタント」や「投資コンル」といった「サービス」と考えれば、そこには「創造的知識労働」が求められるのではないか。
…というが本書を自分に引き寄せるための僕のスタンス。
あってるかどうかは、なんとも言えないけどw、そう捉えることで、「収益を生むビジネスのあり方」や、そのための「人材育成」のあり方なんかを考える「足がかり」を得ることができます。


あくまで、「足がかり」ですがw。