鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「きんぴか」

・きんぴか 「三人の悪党」「血まみれのマリア」「真夜中の喝采」
著者:浅田次郎
出版:光文社(iBook版)

三人の悪党―きんぴか〈1〉 (光文社文庫)

三人の悪党―きんぴか〈1〉 (光文社文庫)

血まみれのマリア―きんぴか〈2〉 (光文社文庫)

血まみれのマリア―きんぴか〈2〉 (光文社文庫)

真夜中の喝采―きんぴか〈3〉 (光文社文庫)

真夜中の喝采―きんぴか〈3〉 (光文社文庫)



この連休中はアレコレやることが詰まってたので(台風のお陰で、前倒し気味に)、小難しいのは避けて、気楽な小説を読むことにして、前から「読み返したい」と思ってた浅田次郎の初期作品のコレをiPhoneにDLしました。
個人的には新選組ものも中国ものも良いんだけど、やっぱり浅田次郎は「プリズンホテル」とコレって印象がズッとあったもんですから。



以前と同様、一気に読み上げて、
「やっぱり面白いなぁ」
ってのは、変わらぬ感想。
書かれた時代が「バブル」の頃なので、時代背景に時間の流れを感じるものの、思ってた以上に古びた感じはなくて、良質のエンタメ小説の時代を超える「力」みたいなものも再確認させてもらえました。
いや、「浅田次郎」。やっぱり面白いですよ。



とは言え、「これが浅田次郎のベスト」・・・ってのは「違うな」と気付かされもしました。
ヤッパリ「壬生義士伝」や「蒼天の昴」の方が作品としては「上」です。
好き/嫌いで言えば、「きんぴら」や「プリズンホテル」の方が上かもしれませんが、それはあくまで個人的見解。
客観的に見て、そりゃ新選組や中国シリーズの方が一枚も二枚も上です。文章もそうなんですが、何より物語の構成の厚みが違うんですよね。
面白いんだけど、「きんぴか」は「軽い」し「甘い」。
考えてみれば浅田次郎氏の作品歴の中では、「きんぴか」や「プリズンホテル」は出世作であり、それだけに多分に習作的な側面もあるんじゃないかと。
本作も、「なんでこの三人が選ばれたのか」そして「結局、何を成し遂げたのか」、振り返ってみたら、よー分からん結末ですからね。終盤の怒濤の展開と泣かせに、なし崩しのそこら辺も「ま、いいか」って気分にさせられちゃうんですけど。



とは言え、連休中、色々な隙間時間に読みながら、それはそれで懐かしく、愉しい時間を過ごすことが出来ました。
「好き」「嫌い」なら、やっぱり「好き」ですな、このシリーズ。
こういうのは、一人の作者と長い付き合いをしてきたからこそなのかもしれません。
それを再確認した、久しぶりの再読でした。