鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「下克上受験」

・下克上受験 両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
著者:桜井信一
出版:産経新聞出版



「すごいもん読んじゃったなぁ」
ってのが読後の第一感想。
でもって、わが身を振り返って、
「う〜ん…」
ってのが現状です。
う〜ん …。



僕自身は子供たちの「中学受験」に関してはまだまだ中途半端な気持ちしか持っていないようです。
「中高一貫のメリデメ」は認識しているつもりですし、「転勤族」ということを考慮すれば「チャレンジすべき」とは思っています。
その一方で、じゃあ「どこを目指すのか」「どのような方針で取り組むのか」と言った具体的なところになると、全然煮詰まっていません。そんな風に考えたことはなかったんですけど、本書を読むと痛感せざるを得ないと言うか…。
息子も4年生ですからね。
迂闊っちゃあ、迂闊。



本書は、まず「読み物」として抜群に面白いです。
<中卒地獄からの脱却を誓っての父娘の決意>
<親塾で取り組むことを決める経緯>
<努力と工夫の試行錯誤>
<…が高じての、常軌を逸した展開」
<実録ならではの努力の結果>
<行き着いたところ。その向こうの希望>
いやぁ、ノンフィクションとは思えません。
受験発表前後の展開には感動すら覚えました。



一方、「実録もの」としては「手放し」とは行きませんね。
<中学受験のアレコレ>
これは具体的で参考になるところも多いでしょう。
行き着いた先の、「知識だけではなくて…」なんてあたりは、納得感とともに考えさせられるものが少なくなかったです。
でも
<学歴社会へのスタンス>
<努力に偏重しすぎた学習スケジュール>
<人間性・社会生活との兼ね合い>
あたりは「どうかな」とも感じます。
「そんなこと言ってたら辿り着けないんだ!」
って声も聞こえますがね。
(あと「妻」との関係も。
ここら辺は「ネタ」かもしれませんが、
「ネタ」じゃないと、ちょっと怖いw)



でも作者の娘への愛情。
これはヒシヒシと感じます。
「娘のためじゃなくて、自分のためにやってるんじゃないか」
自らそんな疑念を感じつつも前に進む作者の姿が描かれていますが(その点、実に正直です)、その底にある痛いほどの「愛情」は疑えないのではないかと。
それをどのように表現するかってのはありますが、一番わが身を振り返って考えさせられたのは、ここかもしれません。



まあ我が家の子供たちは夏休みの「自由研究」で四苦八苦してるくらいですからねぇ。
…というか、「自由研究」にあんなにかかずりあってちゃいかんのか?