鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「経済学的思考のセンス」

・経済学的思考のセンス お金がない人を助けるには
著者:大竹文雄
出版:中公新書



05年出版の新書。
「インセンティブ」を中心に、事象や人間の行動を分析する・・・ってのは、この頃から広まったんだったかなぁというのが読みながらの感想でした。
リーマンショック(08年)や東日本大震災(11年)前ですからね。今から読むと、その新自由主義的な内容には、やや鼻白む思いもあります。
基本的には「納得」の論理展開なんですが、今の「流行」は、もう少し人間の不合理性に目を向けたスタンスが主流なんじゃないかね。



とは言え、具体的な事例を挙げながら、「インセンティブ」の考え方を適用することで、その論理的思考を教えてくれる本書のスタイルはナカナカ面白く読めていいです。
「イイ男は結婚しているのか?」
「プロ野球監督の能力」
「オリンピックの国別メダル予測」
「年金未納問題」
「年功賃金と成果主義」
etc,etc



年金問題と年功賃金の違いを解説し、所得格差/再分配にまで踏み込む後半は特に読ませます。考え方は新自由主義的でも、安易な成果主義には組しないところなんか、ちょっと面白いですね。
(「年功賃金」の合理性が説明されているのですが、一方でその合理性の前提となる条件が崩れてきている現実も痛感させられもしますが(ITの急速な進化に依る熟練技術の陳腐化や、グルーバリズムetc))



「経済学」の基本的な考え方/スタンスを知る上では入門として良い本かも知れません。
この歳で、「入門」もないかもしれませんがねw。