鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「古書店主」

・古書店主
著者:マーク・プライヤー 訳:澁谷正子
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)



何やら「本屋」絡みのミステリーorサスペンスのようなので、昨今の流行(といっても日本だけだろうけど)もあって、「面白いかなぁ」と、やや衝動買い気味に購入。
こういうのはイケマセンなぁ。
正直なところ、事前の期待は裏切られてしまいました。



作品としては「マアマア」かな、とは思いますよ。
「ミステリー」ではなく、「冒険小説」の類いだと思いますが、テンポよくストーリーは展開するし、(類型的ではありますが)キャラもそれなりに立っています。
「旧知の古書店主が、実はナチハンターで・・・」
っていうのも面白そうな設定です。全体的な構図も悪くないと思います。



でもねぇ・・・。
「古書店主」って言うので期待したようなものははあんまり・・・。



「地獄の季節」(ランボー)やクリスティの初版本が出てきたり、ホームズが重要なところで「引用」されたり・・・するんですが、全体的に「浅い」。
例えば「ビブリオ」シリーズの、取り上げる作品一つ一つへの入れ込み具合なんかと比較すると、本書の取り上げ方は所詮「記号」レベルです。
「本」というものに対するマニアックな思い入れってのが(そういう設定のはずの人物も含め)残念ながら感じられませんでした。
・・・そういうのを期待してたのに!!



まあ、話はそれなりに面白いですから、コッチの先入観(期待)が過剰/的外れだったってことかもしれませんがね。
でもこういうのだと分かってたら、多分読まなかったと・・・。
「損した」とまでは思いませんが、「肩透かし」は個人的には間違いありませんでした。