鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「トラウマ映画館」

・トラウマ映画館
著者:町山智浩
出版:集英社



「バニー・レークは行方不明」「傷だらけのアイドル」「裸のジャングル」「肉体の悪魔」「尼僧ヨアンナ」「不意打ち」「愛と憎しみの伝説」「悪い種子」「恐怖の足跡」「コンバット 恐怖の人間狩り」「早春」「追想」「戦慄!昆虫パニック」「去年の夏」「不思議な世界」「マンディンゴ」「ロリ・マドンナ戦争」「ある戦慄」「わが青春のマリアンヌ」「妖精たちの森」「かもめの城」「かわいい毒草」「マドモアゼル」「質屋」「眼には眼を」「愛すれど心さびしく」


いやぁ、ものの見事に一作も観ておりませんw。
「傷だらけのアイドル」「悪い種子」「昆虫パニック」「わが青春のマリアンヌ」「質屋」
あたりは「観たいな」と思ったことも過去にあるんだけど、本作を読んで、つくづく「観なくて良かったな」とw。


もう最近は映画には「娯楽」以上のことを求めなくなってきてるからなぁ(堕落)。
わざわざ時間割いて、「やな気分」になりたくないもん。
ここで取り上げられた作品を観たら、「やな気分」になることはほぼ間違いなし、である。
逆に言えば、魅力あふれる作品群とも言えるんだけどね。
人生のある側面を突きつけてくれる作品たちでもある。(「マンディンゴ」のように社会に突きつける作品もある)
これが地上波で放映されてたって言うんだから。
かつての日本がある種の豊潤さを持っていた証拠なのかもしれない。(単にいい加減だったとも言えるw。それは「良い加減」だたのかもしれないが)



本作は「映画紹介」であるとともに、作者の「トラウマ」の一端を覗かせる作品でもある。
「眼には眼を」評では自分自身の母との軋轢について赤裸々に語っており、それが「あとがき」の最後の一文、



<最後に、この本を母に捧げます。>(P.237)



に深みを与えている。
「愛すれど心さびしく」評のラストと重ねると、なかなか趣き深い構成になってる気がするよ。



<人間は苦しみ続けなければならないのか?おれは何をするべきなのか?
しばらく立ち尽くしたビフは、店の日除けを上げる。やがて来るはずの夜明けを待って。>(P.233)



映画を見る気がなくてもw、読み応えのある一冊です。