・銀行員はどう生きるか
著者:浪川攻
出版:講談社現代新書(Kindle版)
冒頭の一章は、作者がリンク先の記事で紹介しています。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55271
ここで紹介されている三井住友銀行中野坂上支店の姿っていうのは結構驚きですが(見に行きたいなーと思いました)、本書ではそーゆー銀行の新しい姿もアメリカではとっくに実現化していることが紹介されています。
昨年末にメガバンクの構造改革に関する記事が出たときにそういう解説を読んだ覚えがあるんですが、その時は具体的にどういうものなのか、いまひとつピンと来ませんでした。
ようやく本書を読んで、具体的にそこら辺が理解できました。
稼ぐ力と言う点ではメガバンクより課題の大きい地銀よりも先になぜメガバンクが大胆な構造改革を打ち出さなければならなかったのか?
ゼロ金利政策によって国内での「稼ぐ力」が落ちている事はメガバンクでも地銀でも同じですが、メガバンクはその点を海外展開でカバーしてきました。
ただここにきて、米国の金融政策が変化してきたこと、トランプ政権によって金融の規制緩和の流れが出てきたこと等によって、邦銀が海外で稼ぐコストが跳ね上がって来た。
一方で日本のゼロ金利政策は長期化する様相を見せており、その見通しからメガバンクが先んじて構造改革に踏み込んだのだ。
…と言うのが作者の見立て。
先日、グループのIR説明会を見ましたが、なんか重なるトコも少なからず…。
http://www.tokiomarinehd.com/ir/event/presentation/2018/
まあ大体「保険」は「銀行」に数年遅れってトコがありますからね。
余所事とコレを捉えるのは甘過ぎるでしょう。
フィンテックを取り入れながら「顧客サービスの向上」を第一にしてビジネスモデルを変革していくアメリカの銀行の姿ってのは、「保険」にも参考になると思いますよ。
(「保険」の場合、代理店さんや営業職員さんと言う存在がありますから、顧客接点と言う点では関係者が「銀行」より多いですがね)
今の個人的な興味は、ビジネスモデルの変革に伴って「オフィス」がどうなっていくかっていうところかな?
ITを駆使した効率化による小規模店舗を展開していく。
銀行の大きな方向性がコレでしょう。
「顧客サービス」を重視する観点から「小規模」にはなるけど、「展開数」は多くなる。
その小規模オフィスの管理はどういう風に進められるのか、現在ある「駅前支店」はどのような形で活用されていくようになるのか。
「オフィス」と言う視点からの「生産性向上」「収益性向上」のあり方ってのが気になるところです。
ま、銀行だけじゃなく、保険の方もココは気になるんですけど。
先行き恐ろしい話ではあるけど、見方によっては面白くなる…とも言えますかね。
まぁでも、世代的にはなかなかしんどいトコでもあります。
やれることをやるしかないですが。