・ブルックリンでジャズを耕す 52歳から始めるひとりビジネス
著者:大江千里
出版:KADOKAWA(Kindle版)
少し前にインタビュー記事があって、それがちょっと面白かったんですよね。
僕自身は、取り立てて「大江千里ファン」というわけじゃなかったんですけど、一時代を確かに極めた同世代のミュージシャンが、全く新しい道を模索してるってのは、やっぱり気になります。
ジャズミュージシャンになったっていうのは知ってたんですけど、具体的にこんなふうにっていうのが目に触れて、読んでみる気になりました。
ヒゲモジャのひょうきんな顔付も含めてですねw。
<大江千里、47歳で始めた僕の「ライフシフト」>
http://toyokeizai.net/articles/-/206780?page=4
ただ、正直言うと思ってるような作品ではなかったです。
このインタビューの中にある、ポップミュージシャン時代の話。
<そういう覚悟は、ずっと前からあったとも言えます。『APOLLO』(1990年9月発売のアルバム)を出してオリコンランキング1位を取った直後ぐらいに、ライブツアーの会場で不思議な光景を見たんです。前回のツアーでいた人が、1列分ぐらいいないんです。地方の公演でしたね。あれ? 今オリコン1位なのにどうしていなくなっちゃったんだろう?って。ヒットして最大公約数のファンを得ることは、本当に好きな人を減らすんだな。これは覚悟しなきゃいけないときが来るんじゃないかな、って直感しました。それが見えたのは、僕だけだったんですよ。>
例えばこのエピソードみたいなものなんかも出てくるのかなあと思ってたんですけど、内容としては徹底的に「今」の話。
ジャズミュージシャンとしてのブルックリンでの日常的なエッセイと、レベルを自分で立ち上げて細々と1人ビジネスをやっていることに関するエッセイ(ブルックリンでジャズを耕す)が収められています。
ちょっと肩透かしではありますが、それはそれで楽しめる内容ではありました。
ここ数日、お風呂にキンドルを持ち込んで、大雪で凍えた体を温めながら、のんびり30分ほど読むのが日課になってました。
そんなふうに読むのには向いている作品だと思いますよ。
(ニューヨークでの奮闘記と言う点は、もしかしたら前の作品である「9番目の音を探して」の方がいいのかも。
まあしかし、こっちを読んじゃうと後戻りして前の作品を読むって言う気にはなれないんですけどね)
実は大江千里さんのジャズアルバムはこの本を読むようになってから初めてゆっくり聞きました。
「アレクサ、大江千里の新しいアルバムを聞かせて」
と言うと、Amazon echoが「andre july」をかけてくれますw。
https://open.spotify.com/album/3qVvLSmw1UldBZxeqTtaH9?si=oZAQ7qJQRSSSMaWZ1OZEqg
…うーん、正直言うと僕の個人的趣味かと言うと、もうちょっとパンチが強い方が好きなんですけどね。
でも、大江千里さんが何を狙ってるのかなっていうのはなんとなくわかります。
それに寝る前に聴くには、結構気持ち良かったりするっていうのもありますしw。
ブルックリンで大江さんが今やっているレーベルは、ほんとに1枚1枚手作りの「スモールビジネス」です。
それが成り立っているベースに、なにがしかポップミュージシャンとしての実績がある事は否定できないと思います。
でも聞いてみると、驚くほど昔の音楽とは違うところに足を進めてるんですよね。
それは、結構すごいことだと思いますよ。
僕も一枚頼んで、お手製のメッセージカード、貰おうかしらん。
ただまぁ、個人的にはあのヒゲ面はどうかなぁと思うんですけどw。