鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

僕は「楽観主義者たらん」と思っています。:読書録「楽観主義者の未来予測」

楽観主義者の未来予測
・楽観主義者の未来予測 テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする<上・下>
著者:ピーター・H・ディアマンティス、スティーブン・コトラー 訳:熊谷玲美
出版:早川書房

楽観主義者の未来予測(上): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする

楽観主義者の未来予測(上): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする

楽観主義者の未来予測(下): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする (ハヤカワ・ノンフィクション)

楽観主義者の未来予測(下): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする (ハヤカワ・ノンフィクション)


成毛眞氏の推薦本。
アメリカでシンギュラリティ大学を設立した投資家がジャーナリストと執筆した本です。(出版は2012年)


個人的には僕はこの手のことについては「楽観主義者」で行こうと決めています。「HAL」も「スカイネット」も嫌だし、その可能性があることも認識していますが、それを避けうる手立てはあると思っていますし、何より「怖がっても止めることはできない」。
だったら前向きに捉えて、リスクを直視しながら、その時点でできることをやていくべき…っていうスタンスです。


これは多分著者たちとも同じ。
それだけに、実は本書の前半部分は退屈でしたw。
「楽観主義であるべき理由」が述べられてるんですが、こっちはもう「楽観主義で行こう」と決めてるんですから。
ただ後半部分、具体的な科学・技術の進歩を、「水」「食料」「テクノロジー」「エネルギー」「医療」といった部門で紹介してくれてるパートは面白く、ワクワクしましたね。
本書が書かれた後の数年ですでに前進しているものも、断念されてるものの、ブレイクスルーしつつあるものもありますが、そのスピード感そのものが本書の主張でもありますから、


本書の最大の主張。
それは「指数関数的テクノロジーは、我々の感覚以上のスピードで進展し、社会を変えていく」と言うもの。
「指数関数」については囲碁盤に米粒を置いていく故事があったと思うんですが、本書ではこんな風に書かれています。


<過去15万年にわたって、ホモサピエンスは「ローカルで線形的」な世界で進化してきたが、現在の環境は「グローバルで指数関数的」である。私たちの祖先が暮らしたローカルな環境では、毎日の出来事はほとんどすべてが徒歩で1日以内の範囲で起こった。彼らの線形的な環境では、変化は非常に遅く、耐え難いほどで、ある世代と次の世代は実質的に同じ生活を送っていた。そして変化の進み方はいつも線形的だった。線形的な変化と、指数関数的な変化の違いを感じ説明しよう。サンタモニカにある私の自宅の玄関から、線形的な歩き方で30歩歩いた場合(一歩を1メートルと仮定する)、30メートル先まで進む。しかし、指数関数的な歩き方で30歩進んだ場合(一歩をの次は二歩、その次は四歩、八歩、十六歩、三十二歩、というふうに増やしていく)、最終的に到達するのは10億メートル先だ。これは地球26周分になる。>


指数関数的に進展してきたデジタルの世界がアナログの世界に影響を及ぼしてきているのが今の段階。
いよいよアナログの世界も指数関数的変化の段階に入って来るぞ〜。
って訳です。


ホントのとこ、どうなるかは勿論わかりません。
2016年に購入したアップル商品たち(iPad pro、iPhone7、AirPods、AppleWatch2)が僕自身の生活の中に入り込んできている有様や、それが僕自身の考え方や感覚に及ぼしてる影響なんかを考えると、結構納得感あり。
AIの実生活への入り込み方(仕事も含めて)も、まさに「指数関数的」な印象があります。
一方でドナルド・トランプの大統領就任やBREXISTなんかの反グローバリズムの流れが「保守的傾向」に繋がったときどうなるかってのもありますが。(ただ現状を見るに「内向き」ではあるけど、「反科学的」ではないようにも思います。トランプはツイッターを使いまくってますしw)


「楽観的に見つつ、その進展を最大限に享受できる社会体制を整えつつも、リスクに対しては敏感に、顕在化したら直ちに対処する」
これが僕の考え。
結構難しいっちゃあ難しいし、決して自分自身がそれによってメリットを享受できる立場でもないとは思ってますがねw。