・烏は主を選ばない
著者:阿部智里
出版:文春文庫
「八咫烏シリーズ」第2作。
前作(「烏に単は似合わない」)はファンタジーだけど、だいぶミステリー色の強い作品でしたが、こちらはファンタジー色の方が強いかな?
…と言うか、かなり「十二国記」ですw。
第1作・第2作は同じ時間軸の「裏表」になってるんですが、意外にそれが「効いてない」って印象を僕は受けちゃいました。
もちろん重なるシーンはあって、それはそれで「ああ、こう言う流れだったのかぁ」って思ったりもするんですけどね。
ただ前作のヒロインたちの登場シーンがあまり多くないので…。
ここはまあ、「好み」なのかもしれません。
ストーリーとしては本作も「ミステリー(種明かし)」の部分はあります。
でも前作ほど大掛かりな仕掛けじゃないし、設定的に「多分こうなんだろうなぁ」と推測がついちゃうところもあって。
それでも「推測がついちゃう」ところが作品としての瑕疵にならないあたり、本作がシリーズものの<序章>的な役割をちゃんと果たしてる証なのかもしれません。
前作を読んだときは、このシリーズを読み進めることに留保をつけざるを得ませんでしたが(作品の出来とは別に)、本書を読んで、「続きが気になる」気分にはなってます。
ホントに読むかどうかは分かりませんがw。
こういう流れで来ると、シリーズとしては「ミステリー色」は薄まってくるのかもしれません。
でもそれはそれでいいんじゃないかなぁ。
ミステリーの仕掛けの部分より、設定やキャラの方が面白く個人的には楽しめていますから。(「御前会議」のシーンは、結構ワクワクしましたw)
作者がそこら辺をどう思われてるかは分かりませんがね。