・教養としての「中国史」に読み方
著者:岡本隆司
出版:PHP
これは良書。
単に「中国史」を解説してる本じゃなくて、「現在の中国」を念頭に置いて、「どうして現在の中国が今のような性格の国家となっているのか」という点を遡って解説する内容になっています。
まあ、ぶっちゃけ「あってるの?それ」って話ではあるんですが(誰もそれを証明することはできないでしょうw)、
「なるほどな〜」
と納得感はありました。
・「中華」という概念
・儒教の根強い影響
・遊牧民との関係
・「士」と「庶」に二元構造と、「科挙」の関係
・明・清から現代中国の流れ
・共産主義国家としての中国
実に実に興味深い。
「過去を最高のものと考える」儒教のくびきから如何に解放されるか、というのが「発展を求められる近代・現代」に置いては重要になるんですが、科学的発展をという概念に根差す「共産主義」がそのポジションにハマったってのがあるのかも知れませんね。
その一方で脈々と根付いている社会的・思想的な土壌が一掃されたわけではなく、その微妙な関係の上に「現代中国」が成立している。
「士」と「庶」の関係なんかは、共産党と経済集団の関係性なんかを考える時に、参考になる視点を与えてくれると思います。
中国に対する反感っていうのは近年の日本では強くなってる傾向がありますが、ご近所の「大国」に対して、近隣国家が持つ感情としてはやむをえないところがありますかね。
一方で、「こっちが大国になってるのに、自国の主張を曲げない小賢しい小国」と、中国が日本を見てるのも、まあ分かる。
「小賢しい」と思われてる間が華ともいえますが。
多田地政学的にも地経学的にも、今後「中国」との関係は軽視できないでしょう。その時、「韓国」の重要性も看過できない。
「気に入らない」と言って引越しできないのが、近隣諸国との関係。
その中で現実的な路線を選択していくのは、相手のことを「理解」することが不可欠です。
その一つのキッカケとして、本書は非常に良いものだと思いますよ。
願わくば、シリーズとして「教養としての『朝鮮半島史』の読み方」を出してくれませんかね。
中国以上に、こっちは知らないこと多いですからねぇ…。