・007 逆襲のトリガー
著者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:駒月雅子
出版:角川文庫(Kindle版)
「カササギ殺人事件」のアンソニー・ホロヴィッツが、イアン・フレミング財団の承認を得て書いた007の「新作」。
作者本人はもともと007のファンだったらしくて、本作も好評だったのか、引き続き「新作」を書いています。
「新作」と言っても、「ゴールドフィンガー」の続編という形で書かれているので、「イアン・フレミングの跡を受けて…」って感じじゃなくて、「イアン・フレミングのタッチを復活させる」って言った方が良いですかね。
50年代を舞台に、
レース場での陰謀
古城での探索
秘密工場での絶体絶命
バイクでのチェイス
地下鉄での死闘
…とまあ、「007」っぽいストーリーが展開します。
むしろ個人的にはあまりにも「らし過ぎる」ところが物足りないくらいw。
これだったら、「現代」で007の物語を書き継ぐ意義がどこにあるんやろう…と。
もっとも
「ゴールドフィンガー」のボンドガール「プッシー・ガロア」との<その後>の物語、
<悪役>の過酷な過去(朝鮮戦争が舞台となります)
ボンドガールの、添え物じゃないアクティブな役割
…あたりはアップデートされた楽しみではあるかもしれませんがね。
特にガロアの「キツいお返し」w。
「女性」に対する007のスタンスは、<今日的には>
「とんでもね〜」
って感じもありますしねぇw。
僕自身は「007」の物語を書き継ぐとすれば、「現代的」にもっとアップデートすべきと思ってます。
そういう意味ではダニエル・クレイグが引き継いでいる映画版の「007」は、僕の考える「007」の継承に相応しいあり方をしてると感心しています。
…まあ、「映画があれば良い」とも言えるかなw。
なんで、ホロヴィッツの続編が翻訳されても、読むかどうかは微妙です。
「面白くない」訳じゃないんですけどね。