鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

すぐに効果は期待できそうもないけど、王道はこちらかも:読書録「『学習する組織』入門」

・「学習する組織」入門 自分・チーム・会社が変わる持続的成長の技術と実践
著者:小田理一郎
出版:英治出版

「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践

「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践


学習障害に悩む組織は多くの場合、以下のような状況にあります。


・風通しが悪く、率直な意見交換や質問は見られず、相互理解には至らない
・本音が語られるのは給湯室、喫煙室、居酒屋などに限られ、業務中は波風が立たない
・みんなが認識しているタブーが厳然として存在する
・お互いの主張が目立ち、探求的な問いかけや内省はめったにない
・各部署間のコミュニケーションは少なく、縦割りで部分最適に走っている
・在庫や人員配置、スケジュールについての調整が頻繁に行われ、混乱している
トラブルシューティングや対処療法ばかりが行われている
・社員たちは未来やビジョンのことは話し合わない
・社員、中間管理職、経営陣の間に大きな溝が広がり、互いに失望感を寄せている
・仕事を自分で作る姿勢がなく、上司や親会社、他部署の指示に従う文化がある
・市場の開拓・創造や新事業・製品開発は、目標とされながら現実にはほとんど動いていない>


・・・ギクッ。


先週聴講したセミナーで「学習する組織」について言及があったので、「今更」と思いつつ、セミナーの内容が良かったので、読んでみることにしました。丁度「入門」があったので、「まあここら辺でいいやろ」。
で、初っ端にグサリです。


本書では「学習する組織」の特徴を、逆にこのように列挙しています。


<・風通しがよく、オープンに話し合う文化が根付いている
・それぞれが良く考え、聴き、話すことが習慣化している
・組織の中で目的、ビジョン、価値観とその意味が共有され行動に根付いている
・チームおよび組織での全体最適化への取組みが自発的に行われている
・事業環境の変化をいち早く察知し、迅速に、しなやかに適応しながらも、その核となるアイデンティティが保持される
・高いチームパフォーマンスが発揮され、それぞれがやりがいを感じて働いている>


そりゃ、こうありたいw。
で、こういう組織になるために必要な学習能力を以下の三つに分け、それ支える5つのディシプリンを整理しています。


<1.志を育成する力…個人、チーム、組織が自分たちが本当に望むことを思い描き、それに向かって勝手自ら望んで変化していくための意思と能力。(ディシプリン:自己マスタリー、共有ビジョン)
2.複雑性を理解する力…自らの理解とほかの人の理解を重ね合わせて、さまざまなつながりでつくられるシステムの全体像とその作用を理解する力。(ディシプリン:システム思考)
3.共創的に対話する力…個人、チーム、組織に根強く存在する無意識の前提を振返り、内省しながらともに創造的に考え、話し合うための意識と能力。(ディシプリン:メンタルモデル・チーム学習)


本書ではこの「5つのディシプリン」が事例とともに丁寧に間接され、その獲得のための演習問題なんかも掲載されています。
ここら辺は「入門」らしいところ。いちいち頷けることばかりでしたよ。(「システム思考」はちょっと難しいw)
ただ「入門」だけに、かなり広範囲なエリアがカバーされており、全体的に「もうちょっと突っ込んで具体的なやり方を教えてほしいなぁ」って気持ちも残りました。
そんなの自分で勉強しろよ…ってことなのかもしれませんがw。


ビジネスが複雑化し、かつ変化が速くなってきたことで、かつて尊ばれた「熟練」や「職人的」という仕事のやり方のデメリットも出てきてるのが現代でしょう。それはAIの進展によって、さらに加速する可能性があります。
そういう時代には「上から言われたことだけを黙々とやる」とか、「OJTを中心に個人の能力・スキルの向上に期待する」とか、「専門性よりも総合力・人間力に重きを置く」と言うのはビジネスの流れを取り逃してしまう可能性が高くなります。
「個人よりもチームの力を重視し、メンバーが自律的に学習し、行動するとともに、チームとして互いを補完し、チームとしての成長にメンバーが貢献する」=「学習する組織」が求められるのはそういう背景があると思います。


個人的にはもうちょっと「チーム学習」を具体的に知りたかったですかね(セミナーでは、「チームのコミュニケーションを高めるためのアクション・ラーニング」が取り上げられていました)。
ただ「今必要なこと」と言う意味ではダニエル・キムの「成功の循環モデル」が今の組織でどういう状況になっているかを把握することかも。
そういう意味では「OCAPI」のサービスは気になっています。
やってみようかなぁ、これ。