鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「なんでコンテンツにカネを払うのさ?」

・なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門
著者:岡田斗司夫、福井健策
出版:阪急コミュニケーションズ(Kindle版)



スガシカオ氏のTweet以降、デジタル化における音楽ビジネスについて、漠然と考えています。
その根幹にあるのは「著作権問題」。
で、昔DLしてた本作を引っ張りだしてきました。
これまたいつかのAmazonセールのときに購入して、放りっ放しにしてたんですがw。



「岡田斗司夫」ですから突拍子もない論が展開されるのかなぁと思ってたんですが、対談の相手が著作権関係の弁護士さんなんですな。
存外マトモな論が展開しています(弁護士さんの立場からは「突拍子もない」ようですがw)。
「著作権の基本的なあり方/考え方」について「なるほどね」って感じはしたかな?
ただフェアユースの考え方なんかは二人の間では前提になっちゃってるんで、知識不足の僕としては、そこら辺もカバーして欲しかったかなぁ、と。
「英米式」の著作権の方が、結局マーケットを広げて行くことには有利で、結果的にはクリエイターに分配の多いビジネスモデルを築くことが出来るっていうのは確かだと思うんですが、文化的には重要でもマーケットの期待できない分野については「文化保護」が必要であり、そっちには「大陸式」の方が向いて・・・というのが個人的理解なんですが、今ひとつ自信がないものでw。



岡田氏は本書の中でクリエーターが「生活費を創作物から稼がない」世界を描いています。
大きな流れはソッチに向かってるのかもしれません。
「創作物」そのものじゃなくて、タニマチ的仕組みをビジネスと組み上げたり(ファンクラブの延長?)、ライブやグッズ販売をビジネスと成立させたり・・・ってのは最早「現実」です。
でもそういうビジネスを築けない「創作物」や「クリエイター」は淘汰されても構わないのか?
僕はそこまで「市場」や「人間」に楽観的にはなれないんですよね。
勿論、「努力」は必要ですが・・・。



ちなみに本書の後半で盛り上がってる、「全メディアアーカイブ」。
個人的にはコレは無理だと思いますね。
だってコレ、「官」(国)でやればえらく使い勝手が悪くなるし、思想統制に繋がりかねない。
じゃ、「民」となれば、「それってAmazon/iTunesに勝てるの?」(勝てなきゃ生き残れない)ってことになるでしょ。
手間はかかるけど、今のように「民」がそれぞれデジタルビジネスに取り組む中から淘汰され、選ばれて行く・・・ってのが本道じゃないかと思うんですが、いかがでしょう?



とは言え、デジタル化に及び腰過ぎる(その間に外資にプラットフォームを押さえられちゃう)ってのはありますがね。