鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「日本人はどう住まうべきか?」

・日本人はどう住まうべきか?
著者:養老孟司、隈研吾
出版:日経BP社(Kindle版)



隈研吾設計の建物は、ちょっと衒いすぎてる気がして、あまりピンと来ない。
養老孟司の作品は、「バカの壁」以降は何だか書かれる必然性に乏しいようで、ちょっと首を捻るものが少なくない。
そんな僕がなんで本作を読んだかというと、「Amazonのセール」。
いやぁ、恐ろしいなぁw。
正直言えば、「里山資本主義」を読んで、こういう方面の話に興味が広がってるところにセールの通知があってハマったんだけどね。(でもセールの通知がなかったら絶対に読まなかったろうから、ヤッパリ「恐ろしい」w)



対話の内容は納得できる線だったかな。
一言で言えば、
「原理主義に囚われるな/現場主義で行こう」
って感じ?w
「コンクリート建築からの脱却」
「超高層ビルブームへの疑念」
「東北復興への期待と危惧」
「住まい方としての『参勤交代』」
「エネルギーと都市建設」
etc,etc
色々なことが語られながら、現代の建築、日本の都市設計や行政等に対する疑念が語られてて、その方向性は「里山資本主義」と重なるところが少なくないと感じる。
東日本大震災がこういう流れを表面化させた・・・ってのは間違いないだろうね。



今から一年くらい前に元本は出版されているのかな?
それだけに震災の影響が強く出ていて、現在の状況から振り返ると、何だか敏感すぎるような気もする。
そのことが一番恐ろしいこと何じゃないかとも思うけどね。
日本人の中にある「刹那主義」ってのは、こういう骨太な思想の流れを追って行くのに、どうも向かないというか、何と言うか・・・。



ただ「現実」は常に後ろに迫っている。
その意識から「里山資本主義」のような考え方が生まれ、本書のような「現場主義」(「だましだまし」ってのはいい見方だな)が訴えられるようになってくる訳だ。
その当否は歴史が判断するのかもしれないけど、少なくともこういう考え方が出てくること自体は健全なことだと、僕は思うけどね。



それにしても二人の「文系」に対する評価は厳しいねw。
ま、言われても仕方ないところもありますが。