鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「聖女の救済」

・聖女の救済
著者:東野圭吾
出版:文春文庫



これはかなり無理なトリックだろう。



その無理なところを物語に取り込み、叙述トリックと重ねて、むしろ作品の「読みどころ」にしちゃって読ませるトコがこの作者の上手さ。
テレビドラマの設定を拝借することで登場人物を、より魅力的にしているあたり、なかなか強かでもある。
(作中人物が出張中に「福山雅治」の音楽を聴くシーンなんかもあって、作者も楽しんでる雰囲気がある)



「ガリレオ」シリーズの最新作。
とは言っても、発表時期は前作「ガリレオの苦悩」に収められた作品とは前後するものもあるようだ。
まぁ、それで読むのに困るってわけじゃないけどね。



tVシリーズに出てきた「内田薫」という女性刑事を登場人物に迎え、作品としてのバランスが非常に良くなっている。 (こういうの結構珍しいと思うけどね)
本作では「ガリレオ」の友人の刑事をストーリーの中心人物にすることで、より物語の構成を起伏あるものにしている。
これが可能になったのも「内田薫」効果だから、やっぱりなかなかしたたかな作者だw。



前半、
「なんでこの女性が、この動機で…」
とアンバランスさを感じたりしてたんだけど、それが後半になって… て、コレは言っちゃいけないかw。
まぁ、そこら辺も含めてのストーリーということなんだよね。
傑作とは思わないけど、「なるほどな」と思わせるものはあった。



それでも無理があるとは思うけどねw。