鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「人を助けるすんごい仕組み」

・人を助けるすんごい仕組み ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか
著者:西條剛央
出版:ダイヤモンド社



知人が「ふんばろう」の活動に関係してるのもあって、印税が寄付にもなるということから購入した作品。
そういう意味じゃ、「読みたい」って感じで手に取ったんじゃないんだけど・・・いやはや、失礼しました。
実に面白く、興味深く読みました。
いい本だと思うよ。



前半、支援活動に立ち上がるまでの経緯の部分は非常にエモーショナルなところがあって、当時の自分の経験や感情を呼び起こされたりもして、なかなか読み応えがあった。
ちょっと涙ぐむようなトコロも・・・w。
僕自身は、現地の「支援」というのは息の長いものであり、簡単には「復興」なんて成し遂げられるもんじゃないと思っている。
従って世間の関心が薄れてきたところで何らかの支援ができればと思っていた。
そう思いながら、既に感覚が現地の状況から乖離している現実。
本書を読みながらそんな反省を呼び起こされた。
いやはや、いかん、いかん。



支援活動をする上で、作者自身の専門である「構造構成主義」を活用して、組織を展開して行くあたりも興味深い。
「構造構成主義」ってもんがどういうものなのかは今もって良く分からないんだけどw、「状況」を把握し、「目的」を定めることから「方法」を導きだすってのは実に現実的。
「方法」にこだわるんじゃなく、「状況」と「目的」こそが肝なんだってのは、「官僚化」を避ける上でも忘れてはならないことだ。
本書を読んでて、政府や自治体のアクションには非常に苛立ちを覚えるんだけど、それもここら辺の思い違いに起因していると言ってもいいだろう。
本書の中でもドラッガーが引用されてたりもするんだけど、これは実にビジネス的な考え方と親和性が高いと思うね。
「経営戦略論」としても十分に活用可能なんじゃないかと思う。
まあ、だから「ダイヤモンド社」から出版されてるんだろうけどさw。



福島原発のことがあり、東電という組織(あるいは「電力業界」「エネルギー戦略」のあり方)が問われるようになって、震災後の「復興」っていうのは微妙なポジションに置かれている感じもする。
だが全てが立ち直ったなんてことはあるはずもなくて、「支援」は(形を変えながらも)これからも必要とされることは間違いない。
そのとき、単なる「援助」ではなく、「自律/再生」を「目的」とした支援を深めて行くこと。
必要なのはそのスタンスだと思う。
あらためてそのことを確認させられた想いだ。



渡辺君。
素晴らしい本を紹介してくれて有り難う。
引き続きのご活躍を期待します。