鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

個人的にはかなりフィットしました:読書録「接続戦闘分隊 暗闇のパトロール」

・接続戦闘分隊 暗闇のパトロール

著者:リンダ・ナガタ  訳:中原尚哉

出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)

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各種のデバイスやサイボーグ化で、人間がクラウドに接続される近未来社会。

「オーバーレイ」と言われるコンタクトレンズ型のデバイスを眼球に埋め込んだ兵士である主人公は、クラウドを通じて「侵入」してくる想像される「レッド」と呼ばれるAIに導かれて…


と言うのが本書の骨子。

なんだか「攻殻機動隊」を思わせる設定で、善・悪定かならぬ「レッド」の導きの元に、地獄巡りに駆り出されれ主人公の姿が描かれます。


<「あなたは使役されているのよ、中尉。目的は不明だけれども、この世界には人類の営みに介入する力が存在する。クラウドがつくられたときからそこを住処にしている。いまそれはわたしたちのあいだを徘徊し、あらゆる紛争や取引に浸透し、監視し、操作している。そのちからは人類の利益を一顧だにしない」>


その名は「人形使い」、あるいは「草薙素子」?w


デストピア的な世界観の中で、個人的な大きな悲劇を経験しながらも、主人公はヒーロー的な物語を辿ります。

作品は3部作のようですが、さてこれからどうなるのかな?

安易な「ビッグブラザーとの対決」的な展開しないといいんだけどなぁ、と思ってます。(本作を読む限りは、そんな感じでもないですが)


設定やガジェットの感じ、主人公のスタンスなんかが、かなり僕にはヒットしてて、すごく楽しめた作品でした。

(ちょっと題名がミリタリーSFに寄り過ぎてて、マーケット的にはどうかなぁとも思いますけどね。原題は THE RED First Light)


続編、早く出版してくれないかなぁ。

無理ゲー…イヤイヤ、そんなことは:読書録「妻のトリセツ」

・妻のトリセツ

編著:黒川伊保子

出版:講談社+α新書

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「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか」に続いて、またもや。

http://aso4045.hatenablog.com/entry/2018/10/05/205156

なんか、こういうのを手に取っちゃう時点で、そこはかとなく「敗北感」が…。

イヤイヤ、単身赴任を解消して、一緒の時間が長くなったことを考えますと、好き勝手やってた自分を矯正しませんと、ね。


個人的には「男性脳/女性脳」ってのは、実はあんまり好きじゃないんです。

なんか、「男性らしさ/女性らしさ」に科学的風味をつけただけ…って感じもするじゃないですかw。

もちろん、「生物」としての性差ってのはありますから、生物学的な差異ってのはあるのは間違いないんですが(子供は産めませんので)、それと「社会的制度的」なところから生まれた差異を区分けするのって、結構難しい。

だから安易にこういう「決めつけ」に乗っかるのは…とは思ってます。


とはいえ、それは思想的スタンスの取り方。

「今現在どうするか」って対処療法的なことを考える上においては、こういう区分けが役に立つのは分かりますし、社会的制度的に「優位」に立っている男性に対しては、こんな感じでショックを与えるのも必要なのかもなぁ、とかも思ったりもします。

ま、ショック受けましたのでw。

(基本的な方向性は「なぜ妻は~」と大きく変わらないんですが、作者が女性だけに、「女性目線」での見方ってのが、結構刺激的(=理解不能)だったりします。

とにかく必要なのは「共感」ってのは分かりましたが)


正直言って、「男性」「女性」と一括りにするのも、どうかてとこもありますけどねぇ。

個人差は絶対にあるでしょう。

「男性」のとこを読んでても、「いや、僕は…」ってとこも…。


あ、でもこれは自分で判断しちゃあかんか。

妻がどういう風に評価してるか…。


う~ん、今、ソファで本書を読んでる妻の感想が何気に恐ろしかったりします…。

そこはかとなく、「昭和」なイメージが…:読書録「悲しみは真の人生の始まり」

・悲しみは真の人生の始まり  内面の成長こそ

著者:柳田邦男

出版:PHP出版

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齋藤学さんの本(50歳からの孤独入門)で紹介されてた作品。

柳田さんの息子さん(次男)の自死から、「絵本」を通じた心の育成への取り組みに至る流れに興味を覚えて…です。

ま、「犠牲」やそれ以降の柳田さんの作品を読めばいいんですが、その手間を省いてってのもあります。NHKのインタビュー番組を書籍化した作品なんで、あっという間に読み終えれますからw。


基本的には「そうだよね~」って印象です。

息子さんの死をどう捉え、それをどういう風に今に繋げているかってのも考えさせられます。

デジタル革命が進む中で子供達を巡る環境が変わってきて(ゲーム、インターネット、スマホetc)、子供の成長にも悪影響が出てきている。そう言う中で、「絵本」と言うのが重要な意味を持ってくるんじゃないか…。

まあ、ここら辺も特に反対するようなことではないか、と。


ただまあ、読み終えて、何となく世代的ギャップというか、「昭和」っぽいと言うかw、ちょっとした違和感を覚えたのも正直なところです。

例えば「絵本」の子供達への影響を語るところで、こんな風に…


<絵本を一緒に読む時は、親と子は対等になれます。(中略)

そして、お母さんが悲しみに涙を流せば、子どもも涙を流す。あるいは、おかあさんが泣いている。その涙につられて、子どもは、より感動性を深くしたり、「お母さんも泣くんだ…」とか、リアルな体験をすることで、子どもの感性や感情はまろやかに育まれていく。(後略)>

 

<絵本の読み聞かせをすることにより、切れがちな親子のアタッチメント、愛着関係がしっかりとつながる。これは、子どもにとって大事なことです。そんな幼児期の体験を持つと、自分が親になって子どもを育てる時、その幼児体験がリアルによみがえってきます。

お母さんの湯上がりのシャンプーの香り、寝そべった時のパジャマのやわらかい感触、そういった雰囲気が頭の中に残り、それがよみがえってくる。愛されて育てられたことが、まさに心の中に根づいているんです。(後略)>


ここでさすがにインタビュアーもまずいと思ったのか、


<お母さんだけでなく、お父さん、まわりの人でもそれはいいんですか?>


って、差し込んみます。

柳田さんもそれを受けて父親の育児関与の重要性をコメントしてますから(フランスとの対比なども指摘しています)、決して根っから「専業主婦神話」に侵されてるわけじゃないんですが、サラッと出てくるコメントがこう言う風になるのが、何となく…です。


しかしまあ、柳田さん、   1936年生まれですからw。

これはある意味仕方ないか、と。

(ただ「家族」の中で柳田さんがどういう振る舞いで、どういう風に接してきたのか、ってのはちょっと気になります。亡くなられた息子さん以外にも、奥さん(離婚されいるようです)も精神的に追い込まれたりもしてたようですし…。

ま、こう言うことは外からは何とも言えないってのもありますけどね)


それはそれとして、むしろ今日的にそれをどうアップデートしていくべきなのか、ってのが重要なんじゃないかなとは思います。(「絵本」に関しては、ここ数日、堀江貴文さんの発言がネットで話題になったりもしてました)

http://news.livedoor.com/article/detail/15459233/

 

インターネットやスマホを「なし」にするってのは、ど~考えても現実的じゃないですから。

割とサラッと戻ってきましたなw:読書録「沈黙のパレード」

・沈黙のパレード

著者:東野圭吾

出版:文藝春秋

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「ガリレオ」シリーズ最新作。

前作で渡米し、一旦はシリーズの終了を匂わせながら、久々の(3年くらい?)再開となります。


…ってまあ、割とアッサリ戻ってきてるんですけどねw。そこら辺に特段のドラマはなく、いつものメンバーが登場します。

作中、「容疑者Xの献身」に言及するシーンがあって、そこにシリーズものとしての繋がり(物語的には独立してます)を感じさせたりもしますがね。


個人的にはこのシリーズは短編向きと思ってて、それは本作にも同じように感じました。

基本的トリック(ここが大掛かりな科学的物理トリックなのが「ガリレオ」ですが)は一つですから。

トリックそのものが焦点でなく、それを巡る人間模様が長編版のメインとなるんですけど、個人的にはちょっとそれが面倒くさいw。


とは言え、「東野圭吾」ですから。

読み始めたら、一気に最後まで。読んでる間は十分に楽しませてくれます。

シリーズ再開を喜ぶ…ってとこまではないけどw、続きがあったらまた買っちゃうでしょうね。多分。


本書の後半には湯川教授がギターを弾くシーンが出てきます。

「福山雅治での映画化を意識してる!」

ってのが妻のコメントでしたがw、さてどうでしょう?(確かに唐突ではあります)

「真夏の方程式」の映画が良かったんで、観てみたい気はするんですが。

犬の漫才師、ふたたび:村上RADIO

8月に続いて「第2回」。

前回は「生」でw聴いたんですが、今回はradikoで今朝の通勤途中に聴きました。

そう言う「緩さ」が良い番組かと。

ま、前回同様、

「Q&Aのコーナー、要る?」

とは思いましたがw。

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radikoのプレイリストはこんな感じ。

いやぁ、便利ですなぁ。

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載ってないのはオープニングのスティーリー・ダン(Madison Time)と、エンディングのニコラ・モンティエ(Early Autumn)でしょうか。

Early Autumnは、

「コメント紹介までしておいて、なんでスタン・ゲッツじゃないねん」

とも思いましたがねw。

(前回の放送のプレイリストは非公式なのがSpotifyに上がってますから、そのうち今回のも上がるかな?)

https://open.spotify.com/user/tmyk3121/playlist/4RK88Y0TuUXAnfnN6frprP?si=P7ambtOzQkuZy6Ke7hpilw

 

個人的には「The Last Waltz」のライブバージョンに、ちょいグッと。

こう言う「浪花節」が気持ちに来るってのは、僕も歳とったからかなぁなんて思ったりもしますけどね。

それに比べりゃ、大西順子さんの「ゲット・バック」なんか、尖ってる、尖ってる。

小澤征爾さんのエピソードもロックっすw。


第3回、あるかな?

ま、あってもいいし、なくてもいいし。

…つうか、こう言うノリのエッセイで一冊書いてくれませんかね?(プレイリスト付きで)

本国じゃ大コケしたとか…:映画評「人狼」

まあ、分からなくもないかなぁ。

なんか古臭い感じなんですよね、作品としてルックが。

(ミッション・インポッシブルの新作と対抗するなんて、とても無理w)

https://ent.smt.docomo.ne.jp/article/1109385

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「人狼」

 

それはもう、押井守の実写版(ケルベロス、紅い眼鏡)の時からそうなんですが、カネかけてもそれは変わらんのかと…w。

やりたいのはそう言うトコじゃなくて、組織同士、組織内部での軋轢、陰謀、隠蔽etc、etc…

そりゃ分かるんですがね。

で、そっちの方は確かに堪能させてくれます。

でも何となく、違うような…。

 

直接の原作となったアニメ(人狼)も観たはずなんですが、あんま記憶がないw。

結構しんどかった漠然とした記憶があるんで、多分そん時も乗り切れなかったんでしょうね。

根っこが全共闘クサイってのもあるかな〜w。(それをリアリティって言ってんのかもしんないけど)

 

中盤以降のアクション展開は韓国映画らしく魅せてくれます。

ラストの「ターミネーター」っぷりは、好みの分かれるところでしょうが。

 

ちなみに原作アニメの遣る瀬無さを本作では回避してるとのこと(そのアニメのラストすら忘れとるw)。

…微妙かな。

確かにアニメ通りだと「あんまり」だけど、こっちだと「それまで」との整合性が…。

 

トータルでは、

ヒトにオススメ出来るかどうか、なんとも…

と言う出来。

あ、個人的には「鋼鉄の雨」の北朝鮮工作員役の役者さん(チョン・ウソン)が渋く締めてくれてたのは嬉しかったですw。

http://aso4045.hatenablog.com/entry/2018/05/26/225531

 

 

 

 

なんか緩いな〜と思ってたら:読書録「ブラック・スクリーム」

・ブラック・スクリーム

著者:ジェフリー・ディーヴァー  訳:池田真紀子

出版:文藝春秋(Kindle版)

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なんか今回の犯人は緩いな〜

…ってのは前にもドッカでありました。

で、当然ディーヴァーが意図もなくそんなことをするはずもなく、どんでん返しがある訳ですw。

 

難民に苦悩するイタリア(ナポリ)を舞台に、善・悪の境界線定かならぬ設定を、それでもリンカーン・ライムは「真実」を追って、物的証拠を読み明かしていく。

 

ラストにはシリーズそのものの大転換も示唆されますが、訳者あとがきで紹介されている次作あらすじを読むと、それはクスグリだけかな?

今回のゲストキャラを考えると、それも面白いかなと思ったりもしたんですが…。

 

個人的にはリンカーンとアメリアのやり取りがもうちょっと欲しかったところ。

ま、それはラストのサプライズで勘弁ってとこでしょうか。