鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

毒のないコメディ:映画評「記憶にございません!」

個人的には「THE有頂天ホテル」「マジックアワー」あたりは「う〜ん…」って感じだったんですよ。

「清洲会議」は「おお、こう来たか」ってちょっと盛り上がったんですが、「ギャラクシー街道」は知らん間に公開が終わってたw。

 

で、「どうかな〜」って半ば心配だったんですが…

OK。

本作は楽しめました。

 

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記憶にございません!

 

芸達者たちを揃え、細かく<笑い>を積み重ねて、着地点としては「気持ちがいい」。

コメディ映画の見本のような映画じゃないですかね。

バタバタ感が控えめなのがちょっとオールドスタイルって感じもしますが、個人的にはこういうの大好きです。

 

設定を知った時には、ケヴィン・クラインとシガニー・ウィーバーの「デーヴ」(大好きです)をちょっと思い出したんですが、あれよりももっと「毒」や「批判性」はないですね。

政策的に変わったのって、水面下で進んでた「K2」プロジェクトと、財務大臣(小林隆がエコスーツ、着てます)がこれまた内々に進めてた「アレ」くらいですからw。

家族の絆は取り戻したけど、支持率はさほど上がらず

…って、そりゃそうでしょうw。

 

まあでも、主人公の中井貴一、悪役の草刈正雄、政治ゴロの佐藤浩市…と、みんな楽しそうに演ってます。

それを見てるとコッチも気持ち良くなってくる。

まあ、そんな映画でしたね。

 

映画館も普段よりも年齢層高めの観客で、結構入ってました。

宜しいんじゃないでしょうかw。

 

竹本IT担当相に是非読んで欲しいw:読書録「テクノロジー思考」

・テクノロジー思考  技術の価値を理解するための「現代の教養」

著者:蛯原健

出版:ダイヤモンド社

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いや、本当に読むべきは小泉進次郎氏かな?

「ポリテック」に賛同しながら、結局大きな思想につなげずにいる(本書に沿っていえば、「具体」ばかりを追っかけてて、「抽象」がない)ようですから。

彼のような若い政治家こそが身につけるべき思考だと思います。


作者はシンガポールを拠点とするベンチャーキャピタリスト。

本書が初書籍となるようです。


思い出したのは梅田望夫さんの「ウェブ進化論」。

2006年に出版された本書は、スマホ登場前(iPhoneの登場は2007年)のインターネットの可能性について、分かりやすくポジティブな視座を与えてくれました。


希望を持ってポジティブにネット文化を捉えていた梅田さんは、その後のネットの状況に絶望して、現在はあまり発言をされておられないようですが、フェイクと分断と格差と寡占と差別に翻弄されるネットの現状を踏まえて記された本書は、ある意味、現在の「ウェブ進化論」ではないか、と。

個人的にはそう感じるくらいです。


もっとも一般向けに書かれ、敷居の低かった「ウェブ進化論」に比べて、本書はやや「事前知識」を必要とする作品かもしれません。(別に専門書じゃないんですけどね)

と言うか、そうならざるを得ないのが、今の社会状況とも言えるかもしれません。

多くの人にネットの可能性をポジティブに語ることは、ものすごく難しくなってしまった。

分かる人、問題意識のある人に、分析と評価、そして方向性を語り、<現実を変える可能性>を共有する…それが精一杯なのかもな、と。


テクノロジーの決定的な重要性

巨大IT企業が寡占するテクノロジービジネスの現状(上場/非上場の融合時代)

都市化(アーバナイゼーション)と、フロンティアとしての「地方革命」

欧州を中心に起きている「データ十字軍」の意味

「インド人」と言う<人種>が持つインパクト

「中国」のテクノロジーから見た歴史と、現状と、今後の可能性

米中テクノロジー冷戦の意味(「中国」のインパクトと、不安)


…幅広い内容を押さえつつ、消して浅くない。

僕自身はここまでテクノロジーファーストで考えることには抵抗もあるのですが、「ある視座」としては納得できるものがあるし、こういう見方をする方が、今の日本にとっては可能性を開くことができるのかな、とかとも思ったりしました。

「印鑑とITの融合」とか言う大臣がいたり、「ペーパレス」をポリテックの成果として掲げたりするよりはねw。


万人に「おススメ」という本じゃないかもしれません。

でも「今」を切り取る作品として、評価できる本だと、僕は思いましたよ。

残念ながら「ウェブ進化論」で語られたような明るくてオープンでポジティブなネット文化を作ることは僕たちはできなかった。

でもそこに「社会を劇的に変革する<なにか>」があるのは確か。

「未来を作る」ために、そのツールをどう使えばいいのか?

本書が語っているのは、そのための「思想」だと思います。

 

「ジャズ」映画じゃないなぁ:映画評「坂道のアポロン」

prime videoでおススメされたのは、「MILES AHEAD」「ブルーに生まれついて」と続けてジャズ映画を観たからかなw。

でも本作。

確かに「ジャズ」を題材にはしてるんですが、「ジャズ映画」じゃあないですね。

 

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坂道のアポロン

 

マイルスも、ベイカーも、「ジャズ」という音楽に取り憑かれていて、見方によっては「呪い」を受けているような存在。

その「呪縛」の中から、自分自身の「存在」そのものを削り出すような「音楽=ジャズ」が生まれてくる。

 

まあ、この構図そのものが「ファンタジー」とも言えなくもないですけどw、その後の彼ら(および周辺)の人生の歩みがそれを裏付けてもいます。

 

それに比べるとなぁ。

いかにも薄っぺらなんですよねぇ。

(ジャズバーでのディーン・フジオカのBut Not for Meとかねぇ…。

学祭のセッションは結構良かったと思うんですが)

原作はどうなのか知らないんですが、少なくともこの映画では「葛藤」はあっても、「呪い」は感じられない。(あくまでも「ジャズ」との関係。キャラ設定には結構重いものもあります)

だいたい、土の上を転がり回るような大ゲンカしたくせに、シャツが真っ白…とか、リアリティラインもどうかってとこ、少なくないですからね。

 

とはいえ、「青春ドラマ」と割り切れば、そこまで悪くはないかもしれません。

ちょっとBL風味ありの…w。

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60年代の風景、坂の多い長崎の叙情

BGMとしての「ジャズ」ならば、まあ許容範囲かもw。

 

あ、でもラストの主人公のセリフ。

アレは、あかんかった…w。

 

 

「ハッピーエンドじゃない」と歴史は語っているけど…:読書録「サムライ・ノングラータ」

・サムライ・ノングラータ Ⅰ・Ⅱ

著者:矢作俊彦、司城志朗

出版:SB文庫(Kindle版)

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先日、ホノルルに行った時、最高裁判所の展示を見て、何となく嫌な感じがしたんですよね。

「西洋の法制度をハワイの原住民にもたらした。凄いやろ〜!」

みたいな雰囲気で(まじめに展示の英語を読んだわけじゃないんで、あくまで「印象」w)。

で、外に出たら、カメハメハ大王が通りの向こうの「イオラニ宮殿」を指差してて、なんだか、

「奪還を!」

って煽ってる感じもあってw。

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…で、その時、昔読んだ本作を思い出し、その場でKindleで購入した次第。

読んだのは1ヶ月後ですがw、


最初に読んだのは、ノベルズで出た時でしょうね。

 

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「海から来たサムライ」

84年出版ですから、この時はまだネット検索なんかない時代。

面白く読んだものの、虚実入り混じった本作の「実」の部分を調べるのも手間でした。(だから調べなかったんですがw)

ハワイの米国への統合…あたりは図書館か、ツアーガイドで確認した覚えが。

「カイウラニ王女」については「実在の人物」ってくらいの認識だったかなぁ。


「サムライ・ノングラータ」になって文庫化されたのを読んだのは2000年代に入って…のはずですが(07年6月初版)、その時はちょっとは調べたかな?

「カイウラニ王女は美人だった」って記憶が残ってたしw。


まあ、現在なら、結構なことがネットで調べられます。

ハワイ統合の経緯も、

カイウラニ王女の「その後」も。

 

<カイウラニ王女>(ウィキペディア)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/カイウラニ


それを踏まえての感想としては、

「え、ココからどうなんの?」


ハワイが結局米国領になるのは、まあ歴史的事実として、そこから史実上、カイウラニ王女が亡くなるまで、本作の時代から5、6年。

その間に何があったのか。

いや、その「史実」は本作物語上、どう扱われるべきなのか?(もしかしたらまた「影武者」が…)

…とか思わざるを得ません。

「真珠湾攻撃」を

<一度目は悲劇として、二度目は茶番として。>

とかってまとめられるより、よっぽどそっちの方が気になるw。


…まあ、構想はあったんじゃないかなぁ。

あったけど、面倒臭くなって、ココまで、と。

なんか勿体ないけど、「続編」は期待しません。

「矢作俊彦」だもん。


上巻はオンボロ船での海洋冒険

下巻はナバロン並みの要塞攻略


エンタメ冒険小説として、大風呂敷を広げた姿勢は、昔も今も評価されてしかるべき作品だと思います。

ただまあ、スッキリはせんのよね。ココで終わるとw。


まだハワイは「海から来たるもの」を待っているのかもしれません。

クールやわぁ:映画評「ある殺し屋」

先週の週刊文春の連載で春日太一さんが紹介してた作品。

prime videoのKadokawaプログラムに含まれてたので。

 

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ある殺し屋


表の顔は「板前」。

でも実は凄腕の「殺し屋」。

…と言うのが市川雷蔵。


依頼人が小池朝雄で、相棒(?)となるのが成田三樹夫と野川由美子という顔触れです。


ストーリーの時間を錯綜させながら、裏切りの気配を低音に、ラストにはある種の虚無も…


市川雷蔵の役どころは「元・特攻隊員」でもあり、それが彼の虚無的な性格づけになってます。

ま、「眠狂四郎」ですなw。

ただああいう耽美さより、本作はズッとクールな仕上がりになってます。


正直言うとアクションに関しては(工夫は見えるんですが)今日的にはモッサリ感がありますw。

でもココんトコを修正したら、現代のフィルムノアールとしても成立しうる作品じゃないか、と。

この手の作品は日活アクション

と思い込んでたんですが、どうしてどうして…。


Kadokawaプログラムには続編もあるし、ほかにも60年代の面白そうな邦画が…。

本作見たら解約しようかと思ってたんですが、もうちょい考えてみようかなw。

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<真実>かどうかはともかく:読書録「『家族の幸せ』の経済学」

・「家族の幸せ」の経済学  データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実

著者:山口慎太郎

出版:光文社新書

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僕の基本的なスタンスは、

「<社会>や<人間>を対象にした調査・統計は鵜呑みにしない」

ってのがあります。

 

「母集団」の取り方にバイアスが入りやすい

調査しようと考えている事象以外の要素が結果に影響するケースが少なからずある

データの「評価」の仕方に測定者のバイアスがかかったりする

長期間の調査・分析が必要で、時に途中の評価がひっくり返ることがある

 

…等々、まあ注意すべき点がいろいろありますから。

 

本書でも、「母乳育児」の影響をフォローした調査を紹介していますが、

「1歳までは健康面で効果がある」

「6歳までは知能面でも効果がある」

…となってて、ここまでだと、

「やっぱり、母乳育児が重要!」

ってなるんですが、結果としては、

「16歳になったら肉体面でも知能面でも影響はない」。

この調査はかなり長期間のフォローをしてるのでこういう結果になってますが、6年間(それでも短くはない)の調査だったら真逆の評価になってたって可能性もあるってことですよね。

 

また本書の作者自身の「考え方」みたいなものも、本書にはそこそこ顔を出していて、統計データでは判断できないことにまで言及しています。

ある種の政策提案のようなものに繋げたいという考えもあるようなので、これは仕方がない(僕は評価します)んですが、<真実>というのは言い過ぎでしょう。

 

とは言え、じゃあ、

「こんな統計やデータなんかに意味ねぇよ」

となるかと言うと、それもまた違う。

むしろ「常識」と言われている思考停止に揺さぶりをかける意味で、こういう調査や分析には意義があるし、自分としてもフォローして行きたいと考えています。

これだけ社会が変わってきてると言われる中で、どこまで「過去の常識」が有効かどうかは、常に検証していく必要があるでしょう。

ただその時に「データを過信しない」。コレですね。

それもまた「思考停止」だと思いますので。

 

本書で取り上げられているのは、

 

「結婚」(結婚相手をどう選ぶのか)

「赤ちゃん」(出生体重、帝王切開、母乳育児の影響)

「育休」(制度と母親の働きやすさ、子供への影響)

「イクメン」(父親の育休が家族や社会に与える影響)

「保育園」(幼児保育の効果)

「離婚」(離婚の子供への影響、共同親権)

 

どれも興味深い内容です。

作者はそれぞれの調査やデータから「政策」「制度」改革へのアプローチを考えていますので、そういう意味でも「机上の空論」に終わらせない姿勢が僕は好ましかったです。(一方で、「データ分析・評価」という点では…と言うのは前述の通り)

 

子育て世代は読んでみても損はない作品だと思います。

ただし「鵜呑み」にしないようにw。

 

 

 

アニメ>漫画(原作)>実写…かな?:映画評「かぐや様は告らせたい」

漫画・アニメのファンの息子と、妻と一緒に観に行きました。

同じ日に娘は友人と観に行ってたんで、家族全員が観たっちゅう…w。

 

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かぐや様は告らせたい   天才たちの恋愛頭脳戦

 

最近の「漫画の実写化」での僕の基準は「帝一の國」なんですがw、残念ながらそこまでは…。

この作品、僕はアニメが良く出来てて好きなんですけど、原作をブラッシュアップしたアニメには遠く及ばず…って感じです。

(似たような原作・アニメ・実写の関係だと、「氷菓」がありますが、あの実写化の方が個人的には評価が上です)

 

とは言え、面白くなかった…訳じゃないんですけどね。

特に「橋本環奈」。

相変わらずの百面相コメディエンヌぶり。

キャスティングが発表された時には「?」感もあったんですが、コレは彼女にしか出来んわな、と言うのが観終わった後の感想。

 

子供たち&妻の感想は、

「面白かった」。

特に橋本環奈&佐藤二朗が大好評。

ま、そうだよね。

 

お客さんはまあ入ってましたが、どこまでヒットするかなぁ。

続編…はないやろな。

でも「かぐや様は告らせたい」は面白いですよ。

特に「アニメ」はおススメ。

同年代の方には、ぜひオープニングをご覧いただきたい。

懐かし感、満載ですw。

 

<ラブ・ドラマティック>鈴木雅之

https://youtu.be/fe4wPCYcXSc