鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「特捜部Q キジ殺し」

・特捜部Q キジ殺し
著者:ユッシ・エーズラ・オールスン 訳:吉田薫、福原美穂子
出版:ハヤカワ・ミステリ文庫(Kindle版)



コペンハーゲンを舞台にした迷宮入り事件担当部「特捜部Q」の活躍を描くシリーズ第二作。
どうもこのシリーズについては文庫化されたタイミングで電子書籍化されるらしい。されないよりはマシだけど、翻訳ですでにこの後が2作出てるってのはもどかしい。
とは言え、じゃあ単行本(というかハヤカワミステリ)で続きを買うかって言うと、そこまではないかなw。
いや、十分に面白いんだけどね。



シリーズとしてはアラブ人の相棒アサドの「正体」が気になるところだけど、そこら辺は本作では殆どスルーされてて(謎の人物関係がチラッと出てくる)、特捜部Qの新しいメンバーが追加になったりしている。
主人公と、これらのメンバーとのやり取り、上司とのアレやコレやが狂言回し的に繰り広げられる一方で、物語としては上流階級の人間の腐敗と唾棄すべき愚行、そこからはみ出した狂女の復讐劇がメインストーリーとして語られている。
前作もそうだったけど、このエキセントリックな展開がシリーズの特色のようだ。北欧社会でこういう話がリアリティを持ってるかどうかは何とも言えないけど、「読ませる」ことは間違いない。(読んでて気分が悪くなるトコもあるけどね。そこら辺を特捜部Qメンバーのドタバタが緩和してくれる構図となっている)
それにしてもデンマークの上流階級の連中ってのは、ホントにこんなに鼻持ちならないのかしらん?



まあ好き嫌いはあると思うけど、個人的には楽しみなシリーズとして位置づけている。
キャラクターの描き方は達者だと思うし、物語の展開も上手いんじゃないかな。
一作ごとに骨太のストーリーを語りきりながら、ちゃんとシリーズとしての「伏線」も展開させてるからねぇ。
さて、次はどんな展開になるのやら・・・。