鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「茶」

・茶 利休と今をつなぐ
著者:千宗屋
出版:新潮新書



僕自身は「茶道」の日本文化における位置づけや、精神性には興味はあるものの、「茶事」にはあまり興味がない。
だって4時間くらいかかるらしいよ。
僕の母は結構好きでやってるようだけど、とてもじゃないが付き合いきれない。
そんな長時間、正座もできないしねw。



そういう人間にとっては、前半の歴史や意義のあたりは面白く読めたけど、後半の「茶事」に関する部分は「うーん・・・」って感じ。
道具やら茶室やらのアレコレを語られても、そもそもピンと来ないって言うのもあるし。
「利休」ファンwの僕としては、利休の子孫である作者に、もっと利休について語って欲しかったんだけどなぁ。
なかなか面白い視点だったと思うしね。



ただ作者自身は茶道における「茶事」を重視している立場。
決して流儀ガチガチのスタンスではないが(武者小路の次期家元にしては確かに「型破り」かも)、それでも理屈や精神性を云々するよりは、茶道における肉体性を重視してるというところだろう。
内田樹氏が推薦文を書いているのも頷ける。
「肉体性」を重視しながら、実は「理論的裏づけ」がキッチリあるのも、「内田樹」風ですな。

「一期一会」

が茶道の真髄だとすれば、このスタンスは確かに頷けます。



まあでもマンガで描かれた「茶事」の流れなんかは、分りやすくて、ちょっと面白そうではあったけどねw。
そのことを考えると、もっと写真や絵図を入れたほうが良かったのかも。
「道具」にこだわる部分が強い作者だけに、そこは現物を写真でも見せてもらったほうが分りやすかったと思うし、例えば「茶事」の流れや「茶室」の様子なんかも、もっと写真で補強して欲しかった感じはするなー。

もっともそうなると、作者が重視する「肉体性」とは遠くなっちゃうかもしれないけどねw。



作者の本書執筆の意図には、茶人として「茶道の入門書を書く」っていうのがあったようだけど、その目的は達成できているように思う。
Amazonじゃ評価分かれてたけど、個人的な受け止め方は別として、悪くない「入門書」なんじゃないかね?

(この延長線上に茶道の現代性が評価できるかどうかは、何ともいえないけど)