鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「シェア」

・シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略
著者:レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース
訳:関美和  監修・解説:小林弘人

ネットを通じて、今後の「社会」がどうなるかについて論じた作品。
「どうなるか」というよりは、「どうなって欲しいか」かな?
作品のポジションとしては少し前に出た「フリー」に近いと思うけど(小林弘人監修だし)、個人的には「未来予測」としてはこっちの方が広範囲であり、人間的な感じはする印象。
ただ、作品としてのシャープさは「フリー」の方が上だろうね。
それは取り上げている事象と、現状との距離感によるものかもしれないけど。(「シェア」に関しては「日本ではマダマダ」というところがあって、その感覚がより強いのかもしれない)


「『モノの所有』ではなく、その『モノ』が発揮する『機能』『サービス』が本当は求められている。
今まではその『サービス』を享受するためには『モノの所有』が最も効率的であったが、ネットの普及により、仲介機能・マッチング機能が飛躍的に進み、『物々交換』『ニーズマッチング』『リサイクル』等のロードが極めて少なくなった。
そのことで『所有』ではない方法での『機能』『サービス』の享受が可能となるだけでなく、効率的にもなっている」


ザクーっとはしょればこんな感じ?w
そしてそうした実例が数多く紹介されて、決してこの方向性が「夢物語」でないことが示唆されている。
日本だとまだこういうサービスって普及してないと思うんだけど(知らないだけ?)、可能性は決して少なくないんじゃないかな。
今の日本のネット社会がまだ「匿名文化」が強いってところはネックかもしれないけどねぇ。
まあ「仲介」のところからスタートして、「オンラインからオフラインへ」って部分は、少し遅れてくるのかもと思っている。
Facebookの流行がホンモノだったら、ここら辺のスピードは速まるかもしれないな。
(本書で行っている「評価の銀行」に最も近いのはFacebookだろうと思っている。結構怖い話でもあるとも感じてるけどね)


「こういう方向で社会が進んでいけばいいなぁ」
とは思ったんだけど、一方で「評価」が価値の中で重要になる社会って言うのは、それはそれでシンドイかなぁとも思う。
「パーソナル・ブランディング」にも通じる方向性なんだけど、個人的には「そういう『俺が俺が』ってのはチョット」って気持ちも強いんだよね。
そういう意味では、この流れも西洋的な価値観の延長線上にあると言ってもいいのかもね。


この週末、僕は本とCDの整理をした。
もう二度と読むことはないだろうと思う本を思い切って売り払うことにして、CDもベスト盤を中心にPCに落としてから一緒に整理。
・・・こういう作業していると、如何に「モノの所有」が空しいものなのか痛感させられるよw。
これらのものは「レンタル」であっても全く問題ないモノだからね。


だから「シェア」という概念に、ある種の懸念と違和感を感じながらも、やはりこの方向に進んで行くことが正しいのではないか・・・というのが今の僕の感想だ。


なーんてこと言いながら、新しいMacProが気になってるし、iPad2・iPhone5が欲しいなーとも思っている自分。
「所有欲」から解放されてるってわけではないようですw。
(もっとクラウドが進むとここら辺も変わるのかもしれないけど、どうかなー?)