鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

個人的趣味としては「超人ノリ」の方が好きですがね。:読書録「ブラック・ヴィーナス」

・天才株トレーダー・二礼茜 ブラック・ヴィーナス
著者:城山真一
出版:宝島社文庫


「このミス大賞作」の文庫化、ということで、書店に山積みになってたので、興味を覚えて購入。
…なんですが、「山積み」だったのは、作者が「石川県出身」(金沢大学卒)ってこともあったようです。もちろん「このミス」効果もあるんでしょうが。


作品の舞台も(前半は)「金沢」。
「あそこらへんかな?」
ってとこもソコココありますが、作品的には「金沢」の必然性はあまりないかも。実際、後半の「キモ」になる中編の舞台は「東京」になります。
「株トレーダー」ですからね。「金沢」舞台じゃ限界、あります。


「解説」によると、大賞受賞時にヒロインはもっと「超人」的なキャラだったようです。
評者からはそういうところに「注文」もついて、単行本化の際に、そこらへんに「加筆」が加えられてるようなんですが(ヒロインの「過去」と「挫折」「限界」が描かれています)、僕としては「超人ノリ」は残しても良かったんじゃないかな、と思わなくもないです。
「周りの人間」の「人間味」が一つの「読みどころ」になるだけに、主人公はその対極の存在にした方が、コントラストがあって、良いんじゃないかと。
ま、趣味の分かれるところではあるでしょうが。


経済版「ブラック・ジャック」というのは言い得て妙ですし、作者自身も意識しているのは間違いありません。
だとしたら「連作短編」が最も向いているのは「本家」と同様では?
キャラ立ちするストーリーで、こういうのってシリーズ化に、向くと思うんですが、実際「続編」執筆中とのこと。
「続編」が長編なのか短編集なのかは知りませんが、できれば「連作」を希望したいところです。
書くのは、結構大変だとは思いますがw。
それを「期待」させるだけの面白さは間違いなくありましたよ。