鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

予想以上に面白くて、刺激的:読書録「LIFE SHIFT」

・LIFE SHIFT
著者:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット  訳:池村千秋
出版:東洋経済新報社

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

「ワーク・シフト」の作者(リンダ・グラットン)が描く、「人生100年」時代の人生戦略。
「まあ、どうせ『個人の力を磨け』って話なんだろうな」
と思いつつ、読み始めたんですが、予想以上に刺激的でタメになり、面白く読めました。
ま、結論は
「個人の力を磨け」
なんですがw。


作者によれば、1998年生まれの人は101歳〜102歳生きるとのこと。
87年生まれは98〜100歳。77年生まれが95〜98歳。
67年生まれが92〜96歳…ってことだから、65年生まれの僕だと90〜95ってとこかな?
ま、勿論「統計的には」って話だけど。


そういう時代になると、僕らの親の世代のような「教育/仕事/引退」という3ステージを前提とした人生設計は成立しなくなる…というのが本書の前提。
経済的には…ってのは勿論だけども、社会的にも、個人の人生的にも。
では、どうすればいいのか…
ということで、本書では人生の中で何回か「働き方」や「生き方」を変える「マルチステージ」の生き方を提唱しています。


ま、それはそれで面白いんですが、やっぱり気になるのは「自分」のことw。
僕たちの世代は「3ステージ世代」から「マルチステージ世代」の「移行世代」ということになります。
要すれば、「社会や仕事の変化を見ながら、いろいろ考えて対処していかなきゃいけない世代」ってことですな。
本書では我々の「親」の世代、「子供」の世代に合わせて、「我々の世代」の人生の「あり方」を具体例を挙げて想定していて、これが読ませます。
読んでて「難儀やなぁ」とは思いますが、「マルチステージ世代」とどっちがいいかと問われると、ちょっと迷うところでもあるかなw。


経済的なこと(有形資産)を別にして、「無形資産」として
「生産性資産(仕事を続けるタメにのスキルや知識かな)」「活力資産(健康と幸福)」「変身資産(人生のステージを変えるための資産)」
に注目しているのはナカナカ面白いし、考え方の整理になります。
個人的には「3ステージ」人生でギリギリ乗り切るかどうかって感じもありますがw、「ポートフォリオ・ワーカー」の可能性を模索して、「生産性資産」と「変身資産」の積み上げを考えるべき…って感じかな。
間に合うかどうかってのもあるけどw。
そのタメに、
「余暇時間をレクリエーションだけでなく、リ・クリエーション(再創造)にも割かなければならない」
難儀ですが、これは「正論」かと。


<100年ライフが当たり前になれば、人生の早い時期に一度にまとめて知識を身につける時代は終わるかもしれない。テクノロジーが目をみはる進歩を遂げると予想される以上、キャリアの初期に身につけた専門技能を頼りに長い勤労人生を生き抜けるとは考えにくい。>


この指摘は、現時点でも指摘できる点になってると思うんですよね、我が業界の場合は。
そこにチャンスもあるとも言えるんでしょうがね。


「100年ライフ」を念頭に置いた教育機関改革に関するコメントなんかも面白かったですね。
<学校や大学は「あらゆる層の若者と中年と高齢者が互いのことを深く知り、相互の経緯と協力関係をはぐくみ、思いやりの精神を一つの社会規範として復活させるための場になりうる>(ヴェレリー・ブレイスウェイト)
アメリカやヨーロッパの政治的混乱のことを考えると、
「そうあってほしい」
と強く思います。
そのタメには学校や大学自身が「変わる」ことも必要でしょうが。


「長寿社会」というと何やら経済的に「苦しい」って印象があり、それ自体は本書も否定してないんですが、それを「前向き」に捉えることができるんだ…ってのが本書を読んで一番ワクワクしたところかな。
それなりの「戦略」と「努力」は求められますが。
そして「活力資産」。
何よりも、まずはコレですね。