鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

本当に先が見えない…:読書録「新・リーダー論」「グローバリズム以後」

・新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス
著者:池上彰佐藤優
出版:文春新書(Kindle版)


グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命
著者:エマニュエル・トッド 聞き手:朝日新聞
出版:朝日新書Kindle版)


トランプは失墜して、とりあえずヒラリーで決まり…かと思ってたら、数日前のFBIの捜査再開の発表で、またもや見通しは混沌となったアメリカ大統領選挙…。


「未来政府」を読んで、その可能性は感じたものの、
「ツールとしてのITを政治に活用することの将来性は理解する一方で、それを『使う側』が本当に使いきれるのか?ポピュリズムが伸張する社会環境では、そういう『合理性』は(少なくとも当面は)期待できないんじゃないか?」
という疑問が払拭しきれず、手に取ったのがこの二冊です。
(先に読んだのが「新・リーダー論」で、そこで言及されてたトッドの新作を…って流れです)


まあ、一言で言うと、
「理想のリーダー論が語りづらい時代になったってことやなぁ」
って感じでしょうか。
池上・佐藤対談では、そうした中でも組織の中で育てられる教養あるリーダーについて語ってるんですが、(理念だけではなく、組織の中で「現実」との折り合いをつける段階を経験することの重要性には賛同できるものの)果たしてそう言う風になり得るかどうか…。
アメリカ大統領選挙に見る「エリート」と「大衆」の分断や、トッドが語る「先進国の危機」などを考えると、そんな簡単な話じゃないよなぁ、と感じざるを得ません。(トッドの欧州リーダーへの失望感は相当のものです)
中国、韓国、フィリピンも、なんか収まらないし。
都知事選挙のあれこれや、その後の豊洲・オリンピック会場をめぐるゴタゴタなんかを見ると、日本もなぁ…って気分になります。
(トッドがアベノミクスに「チャレンジ」と言う観点からの評価を与えているのにはチョット驚きましたが)


本としては人物批評(「プーチンKGB中堅職員のメンタリティー」とかw)や時事批評の強い「新・リーダー論」の方が面白く読めますが、中身の深さ・広さはトッドの作品の方がありますね。「シャルリ」騒動の分析(これでトッドは相当フランス国内で批判されたようです)や、中東情勢(特にアサド政権の評価等)なんかは、「常識」とは違う視点を持ちつつも、文明論的な深みを感じさせられます。
対談・インタビューですから、読みやすいのはどちらも同じですがw。
「今」を知る一つの視点として、悪くない作品だと思いますよ、どっちも。


さて、大統領選挙。どうなりますかねぇ。