鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

もうちょっとエピソードが欲しいかな:読書録「まく子」

・まく子
著者:西加奈子
出版:福音館書店

まく子 (福音館の単行本)

まく子 (福音館の単行本)


直木賞作の「サラバ!」が「面白そう」だと思ったものの、上下巻のボリュームに躊躇しているうちに、「受賞第1作」で本作が出てたので、日和ってこちらを購入。
250ページくらいですしw。


「福音館書店」なんで、もしかしたら読者層には「子供」も想定してるんでしょうか?内容的には「大人向け」だと思うんですが、「子供」も読めなくはないかな?
主人公は「小5」で、ウチの息子と同い年ですし、読みたいなら読んでもいいかな、と。
(もっとも中の一エピソードは少し「早い」ような気がするんですが(自分の経験でも)、最近はそうでもないの?)


読み終わった時は「ちょっと物足りないな」って気分がありました。
後半はまあ「いい」として、前半、ヒロインの「コズエ」の「まく子」としてのエピソードが今ひとつなんですよね。
もっとここら辺でいろいろなエピソードがあって、それが周りを巻き込んでドタバタ…って感じがあった方が、後半に効いてくると思います。「オカアサン」の方のエピソードなんかもドッカで触れられていると、終盤の展開にも唐突感がなくなるのに…
って、そんなことやってたら、長くなっちゃいますな。
そんなになると果たして手に取ったかどうかw。


「多様性の許容」がテーマの一つだと思うんですが、ラストのノリは、「形」としては「新興宗教的な村共同体」みたいになってて、ちょっとテーマ性との齟齬があるようにも思います。
こういう風にまとめたくなるのも分からなくはないし、物語世界としては、それはそれでカタルシスはあるんですがね。
でも「甘い」と言えば、「甘い」。


本作を読む限り、多分この作者の良さは「長い物語」の方が活きるんじゃないかなぁ?
となると「サラバ!」…。
う〜ん、でもやっぱ、あのボリュームは…。


と、言うことで、ただいま検討中ですw。