鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

そして「父」になる:映画評「バケモノの子」

昨日は「定時退社デー」だったので、メンバーの退社を見届けた後に映画館へ。
そのタイミングでちょうど時間が良かったのが本作でした。



「バケモノの子」


「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」と、良質なアニメ作品を連発する細田守監督の最新作ですが・・・。
うーん・・・なんか、どんどん「作家性」が強くなってるような。


いや、悪いことではないんですよ。
「少年の成長」に「師匠の成長」が重ね合わせられ、血のつながりどころか、所属する世界すら違う二人が「家族」になる。
自分の『居場所』に不安を持ち、自らの中に「闇」を抱えてしまう悲劇
「学ぶ」ことで、自分の「居場所」を作り上げていく成長の物語
・・・とかなんとか、いろんなものが詰め込まれていて、それが圧倒的な「技術」に支えられながら作品として成立する・・・ってのはやっぱり大したものです。
アクションも見せてくれますしね。


でも一方で、例えば「サマーウォーズ」にあったようなワクワクするような物語の推進力は落ちてるような気がするんですよ。
本作で言えば、「九太」が「人間世界」とかかわるあたりにその傾向が出てくるように思います。
「失踪」する経緯や、「少女」や「実父」との出会いから「人間世界」とのかかわりを再び持つあたりですかね。
「物語」として、その重要性は良く分かりますよ。
でも「エンターテインメント」としての推進力は、そこで減じられている。


何か「ピクサー」と「宮崎駿」を思い出しました。
そして本作は明らかに「宮崎駿」寄り。
それが悪いわけじゃないけど、「やっぱり日本のアニメは、いい作品となるとこういう方向に寄っちゃうのかなぁ」とも思っちゃいました。


いや、すげぇイイ作品ですよ。
一見の価値は間違いなくあるし、子供たちにも見せてやりたい作品になってます(前作は「どうかなぁ」でしたが)。
でもこの作品がグローバルな大ヒットになることは、多分ないんじゃないかなぁ・・・とも。
「別にいいじゃん」?
ま、そうなんですけどね。