鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「HARD THINGS」

・HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか
著者:ベン・ホロウィッツ 訳:滑川海彦、高橋信夫
出版:日経BP社(Kindle版)

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか



IT関連会社のCEOを務め、会社をHP売却後はベンチャーキャピタル会社を立ち上げて、シリコンバレーで尊敬されている人物が、自身が起業し、会社を大きくし、売却するまでの「苦闘」の歴史と、そこから学んだコトを、非常に率直な口調で語った作品。
まあ、「起業家」向けの作品なんで、サラリーマンの僕にはあんまり関係はないけど、かなり苦労をして、その苦闘ぶりを赤裸々に語った辺りが結構ネットで評判になってるんで、見物気分で読んでみようかなぁ、と
…って、全然、「他人事」じゃない!
最近読んだ中で、これほど「我が身」に当てはめながら読み、考えさせられた作品はないですね。
いやぁ、(面白いとは思ってたけど、「タメ」になるという意味で)「拾い物」でした。


もちろん、「関係ないかなぁ」ってトコもありますよ。
幹部社員のリクルートの話とか、M&A絡みのアレヤコレヤとか、取締役会との関係とか、資金調達や上場の苦闘ぶりとか。
まあ、そこから何らかの「教訓」が得られるといえば、得られはするものの、直接的に響いてくるものは「あんまり…」です。


でも「組織運営」の部分。
本書でいうと、特に「第5章 人、製品、利益を大切にするーこの順番で」「第6章 事業継続に必須な要素」の辺りは、ビシバシ響いてくるものがありました。
もちろん作者が経営してたのは、今僕が務めている会社に比べれば「小さい」。
でもマネージメントという観点から見ると、相当共通点があります。(採用と解雇に関する環境は違いますが)
これって、要すれば「人とどう接すべきか」って話に収斂する話といってもいいかもしれません。
相当な「苦闘」の中から得た作者の「教訓」は、何やらキレイな絵やストーリーにまとめられたビジネス書とは一線を画すトコロがあります。
「結論」めいたものは似ててもね。


アンダーライン引きまくっちゃったんでw、どっか象徴的なトコロを引用…ってのも難しいですが、例えばココなんかどうでしょう。


<数字で厳しく管理することはぬり絵キットに似ている>


あるいは、こんなの。


<モチベーション
▪️社員は、胸躍らせて出社しているか?
▪️社員は、会社のミッションを信じているか?
▪️社員は、毎日会社に来るのを楽しみにしているか?
▪️意欲を持とうとしない社員はいないか?
▪️社員は、自分が期待されていることを明確に理解しているか?>


まあ起業家や組織のトップだと、また違う見方もあるだろうし、響く箇所もズレているかも知れません。
本来的にはそういう人たちに書かれた作品でしょうから。
それでもなお、組織に所属し、大なり小なりマネジメントに関わる人であれば、本書は間違いなく一読の価値がある作品だと思います。


折しも新しい年度が始まっております。
参考にさせていただきながら、今年度の組織運営を改めて考え直したいと思ってるところです。