鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「限界点」

・限界点
著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:土屋晃
出版:文藝春秋(Kindle版)

限界点

限界点



リンカーンやダンスのシリーズでない、ディーヴァーの単発もの。
シリーズも勿論面白いんですが、「どんでん返し」を「売り」にしているだけに、シリーズものの場合はその「切れ味」が落ちるところがどうしてもあります。
それだけに合間に発表される「単発もの」は、ディーヴァーの真骨頂を堪能する機会にもなるんですよね。本作もタップリ楽しませていただきました。


政府機関の「護衛役」と、あらゆる手段を使ってターゲットを誘拐し、情報を聞き出し、殺害する「調べ屋」との対決。
プロとプロの虚々実々の「騙し合い」が冒頭から繰り広げられ、アクションも満載で、飽きずに最後まで読まされます。
まあ、ちょっと「調べ屋」の依頼人の正体と動機が今ひとつですかね。これだと「殺し屋」を雇った方がスッキリするような・・・。
いやいや、読んでる間はそんなこと全然気になりませんよ。ディーヴァー作品に共通して言えることですが、「文句」も極めて高い水準をクリアした上で、の話ですから。最初の頃、
「こいつが弱点になっちゃうじゃないか、なんでこんなヤツを・・・」
とか思ってたところも、楽々クリアしちゃいますからね。最後の登場シーンは、ちょっとグッと来るし。
こちらの予想を超えた展開。
相変わらずです。


ラストに加えられたどんでん返しは「賛否」あるかも、ですかね。
個人的には「OK」です。
でもこれがシリーズ化されたとしたら、ここは明らかに「楔」になります。


・・・って、これ以上、シリーズ増やしてどうするのw。