鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「幕が上がる」

・幕が上がる
著者:平田オリザ
出版:講談社文庫(Kindle版)

幕が上がる (講談社文庫)

幕が上がる (講談社文庫)



ももいろクローバーZの主演で映画化されてるようですね。(監督は「踊る大捜査線」の本広監督)
動いている「ももいろクローバーZ」は紅白くらいでしか見たことがないのでw、「アイドル映画」の「幕が上がる」には興味はないんですが、この映画評をライムスターの宇多丸さんがやってるのをPodcastで聞いて、ちょっと興味を覚えて購入してみました。
(Podcastはジョギング中に聞いてて、その場でiPhoneで電子書籍をDL。便利なんだか、踊らされてるんだか…)



サラサラと読めて、面白かったです。
まあ言ってみれば「高校演劇」をネタにしたスポ根青春小説みたいなものですがw、そこは「平田オリザ」。しっかり「演劇論」も絡んでて(そこら辺がPodcastで興味を覚えたとこ)、ベースとなる部分は実にしっかりしている感じです。
宇多丸さんも言ってたけど、「恋愛」要素を極力減らしたのも正解でしょう。こう言うストーリーラインだと、そういうのって「邪魔」な感じがするんですよ(映画はもっと徹底的らしいけど)。
ま、コッチが枯れてきちゃっただけかもしれないけどw。



文章的にはもうチョット書き込んで欲しかったって感じもあるんですけどね。ここら辺は演劇出身だからかなぁ。
一人称で書かれてるので決して「舞台向け」の原作ではないと思いますが(実際、映画の方はナレーションが多用されてて、ここは賛否あるところのよう。まあこの原作なら、そうなります)、そこも言ってみれば「喋り」ですからね。
「地」の文が淡白なところに脚本的な気配を感じたりもします。
この話だと、装飾的な文章は合わないし、だからこそ作品の長所でもある「スピード感」が出てる訳ですが。



結論を言えば、
「読んで良かったな」
って作品でした。
後世に残るような「傑作」じゃあないと思うけど、非常に好ましい小品なんですよね、要すれば。
まあ「映画」は観ないと思いますがw、それなりにまとまった作品には仕上がってるように思います。
宇多丸評は微妙ではありましたがw。