鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「バーニング・ワイヤー」

・バーニング・ワイヤー
著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子
出版:文藝春秋



「リンカーン・ライム」シリーズ9作。
途中、「007」なんかを読んだけど、ライム・シリーズは久しぶりに読んだ。
昨年出版されたのは知ってたんだけど、「電子書籍にならんかなぁ」・・・と淡い期待してる間にズルズルと。ハードカバーだと重いからねぇ。「いっそ文庫を待つか」とも思いもしたが、好きなシリーズなんで売り上げ貢献しとくのも義務かなと思い直して、この三連休中用に購入。
面白かったか?
そりゃ、もちろん!



もっともシリーズとしての「リンカーン・ライム」シリーズがある種の「ジレンマ」に陥っているのは、相変わらずではある。
このシリーズの面白さ。



1 相次ぐ「どんでん返し」
これはディーヴァーの真骨頂。ジェットコースター・ノベルは健在。
・・・なんだけど、シリーズ化されて、馴染みのキャラができてきて、若干そこに制約が出てきてるのは否めない。
アメリア・サックスを殉職させる?
そんなことはありえない!・・・からね。



2 マジックのような科学捜査
もともとのライム・シリーズの出発点はココ。
これは本作まで継続してるんだけど、9作にもなると目新しさはダイブ減退してしまっている。
その分を犯人側のアレコレで工夫してるんだけど(本作では「電気」)、主人公の魅力がアップする訳じゃないからなぁ・・・。



3 リンカーン・ライムとアメリア・サックスの関係の進展
結局、今このシリーズを僕が読み続けているのはココに尽きる。
そして多分作者もそのことは理解していて、この二人の関係の進展は丁寧に、そして一作ごとに着実に進めている。
本作のラスト。
「今更?」と思いつつ、二人の関係の将来を思うと、「ありかな」って感じにも。
それくらいの「希望」はあっていいじゃん!



まあジャフリー・ディーヴァーが手練れのエンターテインメント小説家であるのは間違いない。いくつかの「制約」を課せられながら、基本的にその作品水準は凡百のサスペンス小説に比べればかなり高い。
本作もまた、そう。
さて、ココまで来て、リンカーンとアメリアの関係は・・・。
そりゃ、次も読まねばなりますまい。



(シリーズと言いながら、一作ごとに独立している本シリーズ。
でも本作だけは過去作との関係性が強い作品になっている。
そういう意味ではちょっとオススメしにくい作品ではあるね。
シリーズそのものは「絶対オススメ」なんだけどさ)