・アリアドネの弾丸<上・下>
著者:海堂尊
出版:宝島社文庫
「桜宮サーガ」の一冊にして、「バチスタ」シリーズの最新刊、文庫化。
海堂作品は「桜宮サーガ」として大きな絵図を描き始めているが、そもそもは「チーム・バチスタ」が原点だからね。
そう言う意味ではメインストーリーの最新刊と言ってもいいかもしれない。
僕はこの「田口&白鳥」コンビが結構好きなんだよ。
特に白鳥の傍若無人ぶりは気持ちイイw。
前作「イノセント・ゲリラの祝祭」ほどではないけど、相変わらずのロジックモンスターぶりを発揮してくれている。
ただまあ、作品としてのバランスはどうかなぁ。
「バチスタ」シリーズにつながる、現実社会とリンクしたストーリー展開に、今回は「桜宮サーガ」の、因縁めいた、時に非現実な世界観が絡んで来る・・・って言う構図が本書には強く出ている。
終盤は推理色が強くなって「桜宮サーガ」モードは後退するんだけどw、正直言ってそこまではチョット違和感を感じることも少なくなく・・・。
まあ「サーガ」を構成する重要な位置づけのシリーズであるだけに、こう言うのも止むを得ないんだけど、それを抜きにして「司法」と「医療」のせめぎ合いを描いた方が、作品としてはタイトになって、より緊張感のあるものになったんじゃないかなぁと思ったよ。
今更そう言うわけにもいかないってのも分かるけどね。
そこらへんが苦しくなって来たためか、次作で「バチスタ」シリーズは完結とか。
うーん、これはなんだか残念。
最近、海堂作品は文庫になってから読むことにしてるんだけど、7月に出るらしい最終巻、もしかしたら待ちきれずに単行本で買っちゃうかも。
いや、そうすると関連の深そうな「極北ラプソディー」も読んどく必要があるかなぁ・・・。
と迷うくらいの面白さはありましたw。
さすがですな。