鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」

・ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘
著者:水木悦子、赤塚りえ子、手塚るみ子
出版:文春文庫



単行本が発行された時、新聞か何かの書評を読んで、「面白そうだな」とは思ったんだけど、何だか「ゲゲゲの女房」の便乗作品に付き合うのも今ひとつな感じもあって、結局読まずにスルーしてしまった。
今回、調べてみると発行はテレビドラマの直前なので、「人気にあやかって」というわけじゃないようだけどね。
便乗は便乗なのかもしんないけどw。



作品としては、題名の通り、「水木しげる」「赤塚不二夫」「手塚治虫」の娘たちが、間違いなく「天才」である父親について語る、というもの。
これが息子だったら、
「如何にして父を超えていくか」
「天才の息子というプレッシャーに、どう抗してきたか」
って色彩が強くなると思うんだけど、40を超えた娘たちのオバチャン・トーク(失礼!)は、イイ具合に肩の力が抜けていて、楽しく読み通すことができた。
まあ同じように結構プレッシャーには晒されたようなんだけど、最後の突き抜け方が、「娘っぽいなぁ」って言うと、これは偏見になるかな?



でも彼女たちの「父親」に対する距離感や、尊敬の念を考えると、
「これは息子とはちょっと違う感じがする」
って思っちゃうんだよね。
まあ突き詰めるとこれは僕自身のスタンスの問題に通じちゃうのかもしれないけどw。
ただこう言う風に娘から尊敬される父親ってのは、「いいなぁ」と感じたのも事実。
っつうか、この3人の偉大な漫画家が尊敬されるのは、当たり前なんですが!
(僕自身は、この3人には少し遅れてきた世代だと思う。それでも影響は圧倒的だろう。それだけの偉大さが彼等にはある)



もっともオバチャン・トークの場合、ちょっとぶっちゃけ過ぎのところもあって、ここら辺は父親の立場に立つと、「うーん…。」って感じもあったw。
それがカラッと語られてるところは、本書の読み味の良さなんだけど、それにしても「こう言うとこは言わなくても・・・」って印象は正直・・・。
手塚治虫の机に突っ込まれてた「パンツ」の話とかさw。
でもそう言うところが本書のいいところでもあるかな。



僕自身は「ゲゲゲの女房」は全く見てないんで、本書がどの程度便乗できてるのかはわからない。
でもこの3人の漫画に影響を受けた人にとっては一読に値する作品だと思う。
「ゲゲゲの女房」やら本書の影響で、3人のファンが新たに増えれば、それはそれで面白いと思うんだけど、そこら辺りはどうだったんだろうね?
ちょっと気になります。