鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「舟を編む」

・舟を編む
著者:三浦しをん
出版:光文社



本屋大賞を受賞した作品。
実家の父が買って読んだのを送ってきた。
結構ミーハーだね、うちの父もw。


さすがに面白く読むことができたよ。
辞書を作るのには10年単位での時間がかかる。
その十五年間を描き、関わった人々の視点から物語を展開している。
最初、その視点の移動に違和感があったんだけど、読み終えてみれば、納得の構成。
なかなか上手いわ。



文体や構成は非常に読みやすくて、一気に読んでしまった感じだ。
「辞書」を作るというストーリーに、「言葉」というものと「人とのつながり」をからめたテーマはなかなか見事だと思う。
「小説」という媒体でこれを読むのは、確かに楽しい体験だ。



まぁ、個人的趣味から言えば、若干「軽過ぎるかな」って印象もあるけどね。
少なくとも監修者の先生に関してはもう少し書き込んだ方が、ラストの伏線になったんじゃないかと思う。
辞書の作成という過程で、あまり大きな波乱がないのも、そういう意味では構成上の弱さになってるんじゃないかね。
だからこそ「読み易い」っていうのもあるんだけどさw。



全体としては、読み始めた頃の「弱さ」がラストでは薄れていたから、個人的には満足したと言ってもいいだろう。
もしかしたら本好きにはあまり受けない作品かもしれないとも思うけどね。
少なくとも保守的な人には。
(ライトノベル的といやぁ、その通りだから)



まぁ、読んで損はない作品だと僕は思います。