鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「新聞・テレビはなぜ平気で『ウソ』をつくのか」

・新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか
著者:上杉隆
出版:PHP新書



上杉隆氏による「記者クラブ」批判最新刊w。
真っ向から「記者クラブ」「官報複合体」を論じている点、「ジャーナリズム崩壊」を受けた作品と言えるかな?
まあ主張の内容は「相変わらず」ではある。
「相変わらず」だけど、確かにそこには実に深い問題が根差しており、その打破の必要性については僕も心から同意している。



本書では「福島原発」問題に関して「官報複合体」が如何に機能したかを新たに論じることで、この問題の重要性/「犯罪性」を主張している。
民主党政権が発足し、一時期「記者クラブ解放」も含めた情報のオープン化に期待を抱いたけど、徐々にそれが失望に変わり、「311」を巡る一連の流れでそれが絶望に近づく。
その経緯は、ネットメディアに接する頻度が震災以降急激に高くなった僕も共有している感覚だ。
実際、マスメディアの報道とネット情報の情報速度の格差は、ちょっと驚くくらいだったからね。(今でもその傾向は強い)



上杉氏は現時点では毀誉褒貶の激しい人物と言えるだろう。
僕自身も「何だかなぁ」と思うこともあるw。
本書にも表れている、主張するスタンスの大上段ぶりとか、「おっちょこちょい」(by水道橋博士)なところ、メディアに登場した際の妙なふざけっぷりやシニカルな振る舞い 等々
その言動のあり方そのものに議論がある点は僕も賛同する。
ただ何か最近の上杉バッシングにはちょっと変な雰囲気も感じてるってのもあるけどね。
些細な誤りを追求したり、人格的な歪みを誇大に指摘することで、その人物の「信頼性」に疑問を付し、そのことで「主張」そのものの信頼性までも否定する流れを作ろうとする。
何かこう言うのって前にもなかったか?(密約事件とか)



僕自身は「記者クラブ」やマスメディアのあり方に関する上杉氏の主張は極めて真っ当であると思っている。
従ってその方向で社会が動いていることを望んでもいるし、ネットメディアが伸長することが日本社会にとってプラスになるとも考えてるんだけどね。(ただ上杉氏に比べると、僕はネットメディアの現状は「まだまだ」だと感じてるけど。内容はともかく、社会へのリーチという点で)



まあもうちょっと振る舞い方には気をつけて欲しいけどさw。