鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「鮫島の貌」

・鮫島の貌〜新宿鮫短編集〜
著者:大沢在昌
出版:光文社電子書籍



「新宿鮫」初の短編集。
…と言っても「新宿鮫」は、骨太のストーリーと、リアルでハードな設定で読ませるシリーズで、主人公のキャラで引っ張る作品じゃないから、「長編向き」なんだけどね。
逆に言えば短編を集めた本書は、色んな切り口から「新宿鮫」のキャラクターを浮き彫りにしているとも言えるだろう。
だからマンガ(「シティハンター」「こち亀」)とのコラボ作品も(もちろん作者の「腕」はあるけど)読める水準に仕上がっている。 (「似た者どうし」「幼な馴染み」)
まあ面白かったよ。
(「新宿鮫」を読んだことない人にとっては「?」だろうけどねw)


10作のうち、個人的に気に入ったのは、
若き日の鮫島と桃井のやり取りを描いた「区立花園公園」と、
成功者となった同級生との対比から鮫島のキャラを照らし出す「再会」かな。
「狼花」の後日談となる「霊園の男」は、「警察官」に対する鮫島・香田・間野 のスタンスを対比することで、シリーズにおける鮫島のキャラのスタンスを明確化した作品になってて興味深い。


まあシリーズのファンなら読んで損はないだろう。
「新宿鮫」を読んだことない人は、まずは本編をどうぞw。