鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「男は邪魔!」「身の下相談お答えします」

・男は邪魔! 『性差』をめぐる探求
著者:高橋秀実
出版:光文社新書(Kindle版)



・身の下相談にお答えします
著者:上野千鶴子
出版:朝日文庫(Kindle版)



「男は邪魔!」は伊藤洋一氏のポッドキャストか何かで知った作品じゃないかなぁ。
ちょっと気にかかっていたのを、しばらくしたらKindle化されたのを見つけて購入。
スペースや持ち運びのことを考えて、こんな風に「ぜひとも読みたいって訳じゃないけど、ちょっと気になる」くらいの本はKindle化を待つようになってるね。一部の作者は電子書籍化にはネガティブなようだけど(東野圭吾とかw)、全体的には電子書籍化の流れは強まっているように思う。(良し、良しw)



でもコレ、不思議な本ではある。
まず最初のスタンスは、題名の通り「男は邪魔」。
何か論拠が提示されて、そこから導きだされた結果ではなく、前提として「男は役立たず」「男は邪魔」と定義されて、そこから「女性」の長所や優位性・可能性を論じる展開になっている。
「女性賛美」
って感じでもなく、色々な側面からインタビューなども交えながら「女性の優位性」を列挙してて、
「いやぁ、そうだよなぁ」
って気分になる。
それに比べて「バカ」としか言い様のない「男」/「男の子」の振る舞いもまあ、否定しきれないというか・・・。
作者の妻は徹底的に「男」(夫)の無用性/仕様がなさを作者に語り聞かせて、何だか遣る瀬なーい気持ちにもなりますw。
ここら辺は作品のスタンスを簡略化するためのフィクション/仕掛けだと思うんだけど・・・もしかしてマジ?



何かを論理的に論じているというよりは、「エッセイ+α」って感じかなぁ。
まあ面白い本ではありました。



という訳で、基本的に「男は邪魔!」は女性を評価する内容なんだけど、なぜかその中で「フェミニスト」、就中「上野千鶴子」氏のことはちょっと揶揄するような取り扱い方になってるんだよね。
何かあったか、高橋氏?w
ま、それもあって、続けて読んだのが「身の下相談お答えします」。
朝日新聞の人生相談コーナー「悩みのるつぼ」をまとめた作品です。(僕は以前、岡田斗司夫氏のは読んでいる)



上野氏の回答のスタンスってのは基本的に、
「世間や社会の型にはまった考え方から自由になれば?」
てことなんだよね。
「男女」の関係、「女性の社会進出」も同様。
運動としてのフェミニズムがどういうモンなのかは正直言ってあんまり知らないし、印象的には「あまりお近づきには・・・」って感じもあるんだけどw、言ってることは頷けることの方が多かったよ。
(作者も何度かコメントしてるけど)「まだこんなことに悩んでる人が」って印象もあるけど、それだけ根の深い話ってことなのかもね。
読んだからって、自分の悩みが解決する訳じゃない。
だいたい「人生相談」するような人は、大半は「答え」を自分の中に持ってるもんだろう。
そのことを十分に分かった上で回答された文章を読むと、そこから立ち上がってくるのは「上野千鶴子」という人間の「形」のようなものだ。
そういう意味で、「悩み相談」をまとめたものだけど、本書はチャンとした「作品」になってると思うよ。
ま、気楽に読める(他人の悩みなんてそんなもの?)本だけどね。