鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「マーケット感覚を身につけよう」

・マーケット感覚を身につけよう 「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
著者:ちきりん
出版:ダイヤモンド社

マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法



「0ベース思考」が、「ヤバい経済学」シリーズの作者たちが自分の「考え方」「視点」について論じた作品だったように、本書はちきりん氏が著作やブログで展開する論のベースとなる「考え方」を整理した本と言えるかな?
一言で言えば、
「マーケット感覚/思考を身につけよう」。
「新自由主義者」らしいではありませんかw。


正直言って、ちきりん氏の主張には「諸手を挙げて賛成」と言えないトコロがあります。
論旨は明快だし、ロジカルな主張は読んでて気持ち良くすらあるんですが、マーケットが合理点に収斂するまでの間に適合し切れずに零れ落ちていくモノたちへの視点がなさ過ぎるように思うんですよ。
ま、僕自身が「オールドタイプ」に属する存在ってのが、そのベースにはあるのかもしれませんがねw。
勿論、「それは政治の役割」なんですが、世の中の風潮に押されて、「政治」がそう言う機能を落としつつあるんじゃないか、って懸念もあります。


だからって世代間格差やら貧困やらが「市場主義」の結果とは言えないってのが日本の現状でもあります。その視点からは「既得権益」を崩していく必要性を僕も共有しています。
その温存が、結果として「外圧」(海外だけじゃなくて、イノベーションもありえる)による既得権益層の破壊によってカタストロフィに繋がってしまうという危険性もありますし。(その前に規制緩和を進めることで、社会的なダメージを緩和すべきでしょう)
本書の中ではそう言うリスクのある業態の特徴が述べられてますが、さて我が業界は…?<①規制によって、消費者が妥当と感じる価値と大きく掛け離れた価格付けが行われている
②規制によって、新規参入が意図的に低く抑えられている
③流通経路が複雑で、付加価値を生んでいない中間業者が多数存在する
④経営者の怠慢により、人材を含む貴重な資源が活用されていない
⑤関係者の怠慢と安定志向のため新技術が導入されておらず、生産性が低い
⑥規模の小さな企業が多く、運営が非効率で大きな投資もできていない
⑦時代に合わなくなったものが、淘汰の仕組みがないために温存されている>


「価値」と言うものが重要であると言う指摘や、変化の激しい現代における「失敗」の重要性なんか、やっぱ頷けるトコの多い視点。


マーケット感覚を鍛える5つの方法。<その1 プライシング能力を身につける
その2 インセンティブシステムを理解する
その3 市場に評価される方法を学ぶ
その4 失敗と成功の関係を理解する
その5 市場性の高い環境に身を置く>


なるほどね。


全てがマーケットによって解決するとは思わないけど、強力な推進力になるのは確か。
それを活用しながら社会を改革・進化させながら、排除される層への目配りを丁寧に行う。
言うわ易し、行うわ難し。
だけどIT技術に乗っかったグローバル化の流れの中では不可欠なんでしょうな。
こう言うの、好き嫌いじゃないからなぁ。


という訳で、「これから親が子供に伝えるべきこと」。


<特定の資格や専門性を勧めることでも、ましてや特定の企業を目指させることでもありません。そんなことより、変化は恐れるものではなく、楽しむものだと身を以て教えてあげましょう。>