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・ハーモニー<harmony/>
著者:伊藤計劃
出版:ハヤカワ文庫
デビュー作「虐殺器官」につながる「世界」を描いているようです。
「虐殺器官」の延長線上で一度世界が「大災厄」に見舞わられ、その後、医学的な管理社会統制が世界を覆った時代を描いています。
人間の体の中に入れられて、医学的にコントロールする「Watch Me」なんかは、レイ・カーツワイルが描くナノテクノロジーを思わせるところもあって、結構リアリティを感じました。前作(「虐殺器官」)の時は、社会とテクノロジーのアンバランスな未来像が気になったんですが、そういう点は本作ではほとんどなかったなぁ。
それに加えて「プライバシー」や「自由意志」「自己認識」なんて概念をめぐってのせめぎ合いがストーリーの中心にはあって、それはそれで現実世界の中でAIの進展によって議論となってる分、書かれた当初以上にリアリティを持って来てるように感じました。
僕自身は「プライバシー」なんかは「情報共有による便益とのトレードオフ」と思ってるところがありますし(しかし「悪意」を持って「プライバシー」を悪用しようとする存在がある限りは、簡単に手渡す判断はできないとも思ってますがね)、「自由意志」の曖昧さについても思うところはあります。
そこから考えると、最後の主人公の「選択」も、あれはあれだ「アリ」なんじゃないかと思ったりもして…。
「自意識」をネットワークに開放した草薙素子(攻殻機動隊)とはまた違う、衝撃的な「選択」ではありますがね。
「アニメ化」されたこともあって表紙は「ラノベ」風ですが、中身はしっかり「SF」。
むしろ、これってどんな風に「アニメ」にしたの?w
「虐殺器官」もアニメ化されてますが、なんか「伊藤計劃」の作品って、(確かにキャラは立ってるんだけど)そういうのに実は向かないんじゃないかと思うんだけど…。
…って、まあ、これは観てみないと「どうのこうの」は言えませんね。
なかなか観る気にはなれませんがw。
原作は遥か大昔に読んだ覚えあり。
「なんか面白かったような記憶が…」
と漠然とはあったんですが、さて映画を見たら、こんなんだったような、違うような…
まあ、ストーリーなんか、どうでもいいっちゃあ、いいんですがねw。
モンキー・パイソンを少し思わせるコメデイを楽しませてはもらいました。
ただガイドブックの面白さは、映画じゃやっぱりもう一つかなぁ。展開のスピードを考えると、やむを得ないとも思いますが。
という点で、やはり原作を読むのが一番ではないか、と。
河出で前作翻訳されてるようです。
どーしよーかな〜。