・最後の皇帝と謎解きを
作者:犬丸幸平
出版:宝島社(Kindle版)

「このミステリーがすごい大賞」受賞作品。
第一次世界大戦後の中国を舞台にしているということで、なかなか面白そうだったので読んでみました。
(ChatGPT)
作品概要
ジャンル:歴史ミステリー(連作短編形式)
舞台:1920年ごろの中国・北京、紫禁城(清朝滅亡後も溥儀が暮らす“閉ざされた宮廷”)
軸になる関係:清朝最後の皇帝(廃帝)溥儀と、日本人の若い絵師 一条剛が、城内で起きる不可解な事件を追う「友情×歴史」ミステリー
受賞:第24回『このミステリーがすごい!』大賞(大賞受賞作)
あらすじ
1920年。北京で暮らす日本人絵師・一条剛は、紫禁城に住む廃帝・溥儀に水墨画の師(帝師)として雇われます。
ただし、それは表向き。実際は、紫禁城に眠る貴重な水墨画を贋作にすり替え、真作を密かに売って資金を作る——清朝復興のための“裏の計画”が目的でした。
一条は溥儀や側近(翁斎)と共に贋作作りを始めますが、城内では不穏な事件が続発。
たとえば、側近の一人が密室状態で不審死を遂げる事件を皮切りに、龍の絵に「誰かが描き加えた眼」、ある時を境に感情を失ったように見える宦官など、紫禁城という閉鎖空間ならではの“奇妙な謎”が現れます。
最初は身勝手にも見える溥儀に辟易しながらも、一条は事件の推理と解決を重ねるうち、立場も国も越えて溥儀と少しずつ理解を深め、奇妙で切実な友情が芽生えていきます——しかし、その関係にも城の現実にも、簡単にはいかない影が差していきます。

読む前は、例えば皇帝溥儀が一般人に扮装して紫禁城を抜け出して、北京の街の中に出て、そこで事件に出会って……みたいな感じの軽めの作品を予想してたんですけど、結構がっつり歴史的な背景を組み込んだミステリーになっていました。
連作短編集なんですけれども、それぞれの事件はかなり関係しあっていて、それがこの時代のこのポジションの皇帝溥儀の立場に関わりあっていて、かつその後の溥儀の人生を予感させる…歴史ミステリーとしては骨太の方に入るんじゃないかと思います。
ある意味、その時代のその文化に根差したミステリーという点では、エジプト時代を舞台にした『ファラオの密室』に近いところはあるかもしれません。
ま、こちらの方が時代が近いだけにリアリティがありますけど。
歴史的に言えばこの後、溥儀は満州国の傀儡皇帝になるわけですが、第二次世界大戦終結とともにソ連に連行され、中国で再教育・釈放…ま、そんな感じになります。
自伝では紫禁城時代を回想もしています。
まあ、こんな事件はなかったでしょうがw。
もしこの作品に続編があるとしたら、どこかで溥儀と一条が再会することになるんでしょうか。
歴史上で考えると、なかなか難しいかな。
あったとしても、そこでミステリーが成立しうるのかどうかという問題もあるし。
そういう意味じゃ続編は期待できないんでしょうねぇ。
割と個人的には趣味の合う作品だとは思いますが、この題名はいまいちかな。
今風ではあるけれど。
そもそもの『龍犬城の絶対者』の方がいいんじゃないかなと個人的に思います。
あんまり売れそうじゃないかw。
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