鈴麻呂日記

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判断するのは人間であるべき…なんだけど:読書録「有罪、とAIは告げた」

・有罪、とAIは告げた
著者:中山七里 ナレーター:佐々木健
出版:小学館文庫(audible版)

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2024年2月に発表され、この12月に文庫化された小説。
Audibleで聴きました。
しかし、中山さんはこういう新しいネタにもビビッドですね。


(ChatGPT)
作品概要
• 単行本:2024年2月14日
• 文庫(小学館文庫):2025年12月5日(320頁)
“すぐ先の未来”の日本の裁判所に、外国から提供されたAI裁判官〈法神(ほうしん)〉が試験導入される。効率化の誘惑と、ブラックボックスへの恐怖。人間が人間を裁くとは何か――を法廷の現場から問う、リーガル・ミステリー/サスペンス。

 

あらすじ
東京地裁の新人裁判官・高遠寺円(たかとおじ まどか)は、激務に追われる毎日を送っていた。そんな円に下された任務は、中国から提供されたAI裁判官の筐体〈法神2号〉の性能検証。過去の裁判記録を入力すると、〈法神〉は一瞬で判決文を生成し、しかも人間の裁判官が出した結論と一致する——裁判官たちは“福音”として歓迎する。

しかし円だけは、絶賛ムードが高まるほど警戒心を強めていく。そんな中、円は18歳の少年が父親を刺殺した事件を担当することに。難しい審理が予想されるなか、裁判長は公判前に〈法神〉でシミュレーションを行い、出力された判決は――「死刑」。こうして、AIの“正しさ”と人間の判断が真正面から衝突する法廷が幕を開ける。

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ストーリーは大きく分けて2つあって、1つは中国から提供されたAIを信用できるかどうか。AIに人を裁くことを委ねることをどう考えるか、という流れ。
もう1つは、主人公が直面する尊属殺人の行方です。


尊属殺人の方は、ミステリーらしく、捜査の中から新しい証拠が出てきて、事件の構図そのものがひっくり返されるっていう展開。
このこと自体にはAIはあまり関係ないです。


一方で、AIを使って裁判に関わる業務を効率化していく、判決までAIに書かせるかどうかっていうところについては、中国が作った『法神』というAIには、中華思想的なバグが意図的に組み込まれていて、そのことで導入自体は見送られるという流れになります。
うーん、まあ、リアルなら、中国がこんな杜撰なことするかなっていう感じはするんですけどねw。
ただ、この話が誠実なのは、そうやって一旦導入が見送られながらも、国産のAIの導入っていうものに関しては、改めて取り組まれる方向性が出されるっていうところでしょうか。
やはり業務の効率化にはかなり役に立つということで。
もちろんそこで、ある人物が「人が人を裁く」ということの重要性みたいなものを説いて、それをAIに肩代わりさせることは問題だっていうようなことを言っていて、それがまあ作品のテーマにもなるんですけれども。
ただ実際問題として、業務の効率化とそこの線引きってどこら辺にあるのかなっていうのが、気になるといえば気になるし、そこにハッピーエンドじゃ終わらない余韻を残してるとも言えますかね。


人間ですからね。
人間は人間が判断したことしか信用できない、納得できないっていうところはあるでしょう。
そういう意味において、裁判においてAIが判決まで行うっていうのはやはり問題だし、納得感にも欠けるとは思います。
それを踏まえて、じゃあどこまでAIに委ねて生産性を上げていくかっていうのは、なかなか難しいところです。


たまたま今日、OpenAIがChatGPT 5.2を発表して、また生成AIのレベルはどうもアップしたようです。
ハルシネーションも少ないようですしね。
こうなってくると、AIによる業務効率っていうのは、夢物語でも全然なくなってきているという状況です。


今回の『法神』について言えば、これをオフラインで稼働させることができるのかなっていうのはあるし、じゃあオンラインでやるとしたらどうなんだろうっていう懸念もあります。
さらに言うならば、ここの『法神』がやってるっていうのは、まあアルゴリズムでそれに沿った回答をするという話で、今の生成AIはもう少し違うところまで行ってる感じがするところが、恐ろしいといえば恐ろしい。
つまり、ここで語られているテーマっていうのは、もしかしたらもうすぐ現実世界においても語られるようなテーマになるかもしれないっていう話です。


まあ面白かったですよ。
Audibleで聴くのにちょうどいい作品でした。


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