鈴麻呂日記

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題名に偽りあり…とまでは言わないけど:読書録「民主主義の死角」

・民主主義の死角 つくられた高齢者と若者の分断と対立
著者:鵜飼健史
出版:朝日新書(Kindle版)

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現状の日本の政治の問題点というのは、もしかしたら世代間の分断に収斂していくのかもしれないなっていう気持ちがあって、目について読んでみた本です。
思っているよりも硬い本でしたけど。


(ChatGPT)
概要
鵜飼健史『民主主義の死角――つくられた高齢者と若者の分断と対立』(朝日新書1027、2025年10月10日刊)。「シルバー・デモクラシー」(高齢者の比率上昇で政治が高齢者優先になるという見方)を手がかりに、民主主義と年齢の関係という見落とされがちな論点(=“死角”)を正面から扱う。推薦文は宇野重規・國分功一郎・白井聡。
構成(目次の骨子)
1. 序論:年齢と政治思想史(「年齢」という軸が政治でどう扱われてきたか)
2. 第1章:シルバー・デモクラシーの正体(概念史と現実の検証)
3. 第2章:未成年者不在の政治史(選挙権年齢・制度史の盲点)
4. 第3章:子どもと尊厳の民主主義(子どもの権利と市民資格の再考)
5. 終章:適正年齢とその周辺(年齢と政治参加の再設計へ)
・著者のバックボーン
著者は政治学・政治思想を専門とし、選挙権年齢や「子どもの政治理論」を含む研究プロジェクトを継続。年齢と民主主義の制度・思想の両面を掘る研究者。


題名と副題は、まさに僕が認識し、問題視・懸念してたような世代間闘争の話なのかなーっていう感じなんですけど、実はそこってあんまり触れられてないんですよね。
具体的に言うと第一章。
まあここでシルバーデモクラシーについて論じてはいるんです。
高齢者の比率が上昇しているっていうのが、日本においては当然な現実ではあるんだけれども、だからといって、政治の方が高齢者有利になってきているとまでは言い切れないっていうのが、いろいろな研究結果などを見て、解説されています。
シルバーデモクラシーとは言われているけれども、そういう状況にはないんですよねっていうことですね。


これが第1章であって、第2章以降はむしろ、
確かにそういう状況ではあるけれども、数として高齢者が増えていくっていうのは間違いない。
その増えていく高齢者のアンバランスさは民主主義の多様性に反する部分がある。
それを是正していくにはどうしたらいいか。
具体的にはそういう観点から、選挙権・被選挙権の年齢引き下げの議論になっていきます。
この年齢制限に関する歴史、その理論的背景なんかを説明した後、どこまで年齢を下げていくのか、20歳から18歳まで成人年齢が引き下げられたという日本の現状を踏まえながら、さらに16歳まで引き下げていくような動きがある世界の情勢なども触れ、そこから更に年齢を引き下げていく、年齢制限というものが選挙に設けられているっていうのはどういう意味を持つのかっていうところを議論しています。
ぶっちゃけ言えば、民主主義を理論的に支えていく時には、年齢制限はないことが理論的には正しいんじゃないかっていうスタンスですね。


まあ、わからなくはない。
確かにそうなんだろうなっていうのは思うんだけれども、実質上においてはかなり,難しいところがあって、その実質を踏まえた制度設計をどういう風にするかっていうところの方が問題でしょうね。


年齢制限を引き下げた場合、0歳とか実質上、自分で投票することができない人については、親が代理をするというのが現実的だと思うんですが、代理投票が抱える理論的な問題点なんかにも突っ込んで、代理ではない形での年齢引き下げっていうのはどういうふうにあり得るのかっていうのが後半では議論されます。
こういうことが議論されること自体が実務においては敬遠されるんだけどなぁと思いながら、それはそれで楽しみながら読ませてもらいました。


いや、ゼロ歳児に政治権を、選挙権を与えるっていうのは、維新の会が主張してるんですよね。で
も維新の会といえば、リベラルとはなかなか相容れないところ。
維新の会は、まあ代理投票を言っていますので、そうではない道を論理として追求したみたいに、邪推しちゃうっていうところもあるかなw。
維新の会っていうのは、原理主義的なところがちょっとありますから。
その原理主義からいくと、0歳児に選挙権を与えるっていうのは、あり得るっていうのは、この作者の論理とも通じるところがあると思います。
そこを現実に落としていくのをどうやるかっていうところであって、その点で作者と維新は折り合えないでしょうし、僕自身も作者の立場には立てないかなっていう気がします。
政治っていうのは確かに理想論を語るところではあるけれども、一方で現実との折り合いをどうつけていくかっていうところでもあると思っているので。


思っているのとはだいぶ違うものでしたが、結構面白かったし、思わぬ面白さに気づかせてくれたっていうところはあると思います。
読んでよかったと思いますよ。
僕個人としては、選挙権を18歳を16歳に下げるのは賛成できるけども、それ以下っていうのはないかなっていうふうに思ってるんですけどね。
民主主義の敵かもしれないけどさw。

 

 

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