・ブレイクショットの軌跡
著者:逢坂冬馬 ナレーター:藤井剛
出版:早川書房(audible版)

この作者さん、評判になっているのは知ってたんですけど、題材がヨーロッパの歴史小説っていう感じだったので、今一つ手を出しかねてたんですよね。
本作は一転して現代を舞台にした小説。
audibleにあったので、聞いてみることにしました。
(Amazon)
底が抜けた社会の地獄で、あなたの夢は何ですか?
自動車期間工の本田昴は、Twitterの140字だけが社会とのつながりだった2年11カ月の寮生活を終えようとしていた。最終日、同僚がSUVブレイクショットのボルトをひとつ車体の内部に落とすのを目撃する。見過ごせば明日からは自由の身だが、さて……。以降、マネーゲームの狂騒、偽装修理に戸惑う板金工、悪徳不動産会社の陥穽、そしてSNSの混沌と「アフリカのホワイトハウス」――移り変わっていくブレイクショットの所有者を通して、現代日本社会の諸相と複雑なドラマが展開されていく。人間の多様性と不可解さをテーマに、8つの物語の「軌跡」を奇跡のような構成力で描き切った、『同志少女よ、敵を撃て』を超える最高傑作。
結論から言うと面白いです。
結構長い小説ですけど、最後まで聴かせてくれます。
確かに評判になるだけはあるなぁと思いましたよ。
ただまぁ一気には聞けなかったですね。
いやほんと面白くて、聞いてるうちはどんどん先に進めちゃうんですけど、特に前半、誠実でいい人がすごく不幸になってしまうっていう、そのパートがどうにもこうにも辛くて…。
聞いてる間は面白くて、聞いちゃうんだけど、一度閉じると次にもう一回聞き始めようっていうのにちょっと躊躇しちゃう、そんなところがありました。
それで聞き終わるのに時間がかかったっていう感じ。
まあ一番はあの車の修理工のお父さんなんですけどね。
いやもう本当にね。
このパートはもう心が苦しくなりました。
まあそれがあってからこその後半っていうのはあるのはわかるんですけど。
後半に入っての「騙し/騙され」パートはワクワクドキドキですし、終盤になって、
「ああ、あれがこうなるのか」
ってのも楽しいし、爽快感のある「どんでん返し」にもなってる。
だからまあ、「我慢のパート」なんだけどなぁ…。
小説としてはSUV「ブレイクショット」の変遷ってのがあんまり効いてないかなって印象はあったかな。
アフリカのパートが今一つ上手くはまり込んでないっていうところもあります。
いやここが作者の興味がある部分だっていうところはわかるんですけどね。
それにエピローグ。
ちょっと飛びつき感があるな、とは。
でもトータルではものすごく面白くて読み応え/聴き応えのある作品であることは間違いないと思います。
善良な人が不幸になるっていうシーンがありますけど、我慢してそれを読み進めればその先には…っていう感じですかね。
振り返ってみると、「本当の悪人」ってのはほとんど出てこない作品でもあります。
時間があればオススメの作品。
前半は我慢してくださいね。
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