・能面検事の死闘
著者:中山七里
出版:光文社文庫

シリーズ第3作。
文庫になったんで早速購入、読ませてもらいました。
相変わらず時事問題をストーリーに組み込むのがお上手ですね。
今回は「ロス・ジェネレーション」と「無敵の人」がテーマになります。
(Amazon)
本の概要
南海電鉄岸和田駅で無差別殺人事件が発生。7名を殺害した笹清政市(32)は、自らを“無敵の人”と称する。
数日後、大阪地検で郵送物が爆発、6名が重軽傷を負った。その爆破事件の被疑者である〈ロスト・ルサンチマン〉は笹清の釈放を求めるが、その理由は何か? 不破俊太郎一級検事も新たな爆破に巻き込まれ負傷する――。
連続爆破事件を止めることができるのか? 〈ロスト・ルサンチマン〉の真の目的はどこにあるのか? “棄民”と“司法”の苛烈な対決が始まる。人気検察ミステリー第3弾!
相変わらずうまいですよね。
単純にうまいだけじゃなくて、就職氷河期世代(ロストジェネレーション)の問題とか、無敵の人の問題とかにもちゃんと考察を深めていて、そこら辺が読みドコロにもなっています。
最近になって、国民民主党とか「現役世代」の後押しっていうのを売りにする政党も出てきていますけど、氷河期世代ってもうすでに40代後半から50代位になっているので、微妙にこの「現役世代」に重ならないんですよね。
問題になってるのは「現役」にすら慣れなかった層のことですから。
作品の中でも「10年前に手立てしなきゃならなかった」とコメントされていますけど、全くその通りです。
もちろん犯罪との関係で言えば、世代論でくくるのは大雑把すぎるし、結局のところはそこは個人の資質の問題っていうことにはなるんですけれども。
そこを自己責任に押し込めていいのかどうかっていうのも作品の中ではテーマの1つとなっています。
答えは無いんですけどね。
まぁこの答えのない問題っていうのが、作品としてはミステリーに集約していくことで薄れてしまうと言うのはあるかもしれません。
ただまぁエンターテイメントですから、
答えのないところを深掘りし続けるって言うわけにもいかないでしょ。
それでもラストシーンはああいう風にしたっていうのは、作者の誠実なところと言えるようにも思います。
連載が終わってるようですから、そろそろ次のシリーズも単行本になるタイミングでしょうかね。
まぁ読むのは文庫になってからと思っているので、もう少し先になると思いますけど。
ドラマ化もされるとか。
主人公は上川隆也。
どんな感じになるのかなぁ?

能面検事の死闘
中山七里