・アルプス席の母
著者:早見和真 ナレーター:河井春香
出版:小学館(audible版)

「店長がバカすぎる」シリーズの早見和真さんの最近作。
この後に発表された「問題。」も気になってたんですが、こちらが本屋大賞にノミネートされたのと、audible化されたのとで、コッチを聴いてみることにしました。
(ChatGPTより)
早見和真さんの小説『アルプス席の母』は、2024年3月に小学館から刊行され、2025年本屋大賞で第2位を獲得した作品です。高校野球を題材にしながらも、母親の視点から描かれる新しい切り口の物語で、多くの読者の共感を呼んでいます。
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📖 あらすじ
主人公・秋山菜々子は、神奈川県で看護師として働きながら一人息子の航太郎を育てるシングルマザー。航太郎はリトルシニアリーグでエースとして活躍し、全国大会で優勝を果たします。しかし、彼が最も憧れていた大阪の名門校からは声がかからず、最終的に甲子園出場経験のない大阪の新興私立高校「希望学園」に特待生として進学を決めます。
菜々子は息子の寮生活を支えるため、自らも神奈川から大阪府羽曳野市に移住し、学校近くのアパートを借りて看護師として働き始めます。しかし、希望学園高校野球部の父母会には独特の慣習や伝統があり、菜々子はその中で様々な葛藤や困難に直面します。また、航太郎の肘の故障や手術、監督への裏金問題など、親子で乗り越えなければならない試練が次々と訪れます。
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🌟 作品の魅力
• 母親の視点から描かれる高校野球:これまでの高校野球小説とは一線を画し、母親の視点から息子の成長や葛藤を描いています。親としての喜びや苦悩がリアルに表現されており、多くの読者の共感を呼んでいます。
• 親子の成長物語:息子の成長とともに、菜々子自身も自分の生き方を模索し、親としてだけでなく一人の人間として成長していく姿が描かれています。
• 社会の現実を描く:野球部の父母会のいびつな慣習や監督への裏金問題など、現実社会の問題にも切り込んでおり、読み応えのある作品となっています。
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『アルプス席の母』は、単なる高校野球小説ではなく、親子の絆や成長、社会の現実を描いた感動的な作品です。親としての在り方や、自分自身の生き方について考えさせられる一冊です。高校野球ファンはもちろん、すべての親子に読んでいただきたい作品です。
前半はちょっと息苦しい感じもあって聞き進めるのが辛かったですね。
父母の会での軋轢とか、慣れない大阪での生活とか、監督への裏金問題とか…
主人公が意に染まないことに巻き込まれつつも、それを受け入れていかざるを得ないって言う展開に、聴いてるこっちも何とも陰鬱な感じにさせられました。
こういう昭和的な雰囲気とか、体育会的な圧力とかって、自分自身でも経験してきたことがあるし、馴染めない雰囲気だっていうのもあります。
だいぶ時代も変わってきたところあると思いますけど、まだこういうのってあるんだろうなぁ…と妙なリアリティーを感じたりもしました。
主人公自身はそういうことに肯定的ではないし、疑問もしっかりと持っています。
ただそれに対して正面切って反発するわけでもなければ、改革していくことができるわけでもありません。
なぜなら息子の生殺与奪権を握られているから。
ささやかながら抵抗を見せようとしながらも、口を閉ざさざるを得ず、周りから批判的な視線を向けられ、孤立してしまう。
野球をやっている息子じゃなくて、その母親がそんな理不尽な状況に陥らざるを得なくなると言う前半は、ホント途中で放り出したくなるくらいでした。
でもまぁこの振りが効いてるのも確かなんですよね。
ささやかで貫き通すこともできなかった抵抗が、実は大きな意味を持ってくるというのが後半になってわかります。
そこから主人公は少しずつ変わっていき、それと重なるように息子の変化も描かれていきます。
自分が主人公で活躍するのではなく、支える側になる。
母親が息子を支えるように、息子がチームを支えていく姿が、なんとも好ましく見えてくる中盤以降の展開がすごく気持ちよかったです。
そして終盤の展開。
昭和的な雰囲気も体育会的な圧力も、必要悪なんかではなく、否定すべきところは否定していくと言う展開も気持ちよかったです。
そして最後に来ての熱い展開と、胸をつかむシーン。
いやぁ、エンタメやなぁ!
まぁ、出来過ぎと言や出来すぎかもしれませんが、前半の鬱屈が一気に晴れますから。
僕はこれでよかったと思いますよ。
本屋大賞2位?
うん、相応しいんじゃないかな。
大阪物としても、なかなか良い塩梅の作品じゃないかと思います。
半歩の距離感、
わかるわ〜。
息子を持った母親は終盤の展開、涙なしに聞くことはできないでしょうね。
息子を持つ父親としては…しかしまぁなんでこんなに影が薄いんでしょう。お父さんたち。
そのこと自体に、リアリティーを感じちゃうのも、なんだかなぁ…
アルプス席の母
早見和真
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