鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

あ〜、確かにコレでは数学は出来んわ:読書録「シン読解力」

・シン読解力 学力と人生を決めるもうひとつの読み方

著者:新井紀子
出版:東洋経済新報社

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東大ロボでAIの東大合格にチャレンジしていた新井さんの「AI vs.教科書が読めない子どもたち」に続く<読解力>本。
取り組んできたリーディングスキルテスト(RST)のデータを踏まえて、必要とされる「読解力」の中身に踏み込んでいます。
興味深い内容でした。


(Amazon)
東ロボくんの開発責任者で、読解力を調査・研究し、受検者数50万人のRSTを開発・普及させてきた『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者による待望の続編!

ここで言う「読解力」とは、国語や読書の際に用いられる一般的にイメージされる読解力ではなく、「教科書を正確に読み解く力」を指す。そこで著者はこれを「シン読解力」と名づけた。
シン読解力を測るリーディングスキルテスト(RST)の受検者は50万人を超え、そのデータから様々な事実がわかってきた。

・誰もが読めるはずの教科書が読めていない子どもたちがいかに多いか。
・子どもだけでなく、実は大人も教科書や新聞が読めていない。
・シン読解力と学力には強い相関がある。
・シン読解力が低いとビジネスにも支障をきたす。
・シン読解力は学校では教えてくれない。
・シン読解力は国語や読書では身につかない。
・シン読解力はスキルであり、トレーニングによって年齢を問わず身につけることができる。

RST受検者50万人のデータを元に、
シン読解力とはなにか、教科書が読めないのはなぜかを明らかにし、
RSTの成績向上に成功した事例を紹介しながら、シン読解力習得の処方箋を示す。


新井さんは、AIに関しては、結構厳しい方で、前作でも本作でもAIが人間を超える能力を発揮することに対しては懐疑的です。
教育データの問題とか外れ値の事なんかを考えると、まぁ確かにおっしゃってる事は一理あると思います。
ただ、そこら辺は、実装の段階において、何らかの手当てがされるというのが僕の考えで、僕はもうちょっとAIに関してはポジティブですね。


…て言う感じで、最初はちょっと違和感なんかも感じながら読んでたんですけど、RSTのデータ分析から始まる内容については相当興味深くまた驚きもしました。
前作の段階では、RSTはスタートしたばっかりで、まだデータ的な分析は充分じゃなかったと思うんですけど、本作ではすでに50万件を超えるデータが集まっていて、それをベースにした議論がされています。


最大のポイントはもちろん「読解力がない人が少なからずいる」なんですけど、本作のポイントはこの「読解力」の内容をより踏み込んで分析しているところにあります。
一言と言えば「本をたくさん読めば良いということじゃない」ということ。
その事は前作でも触れられてるんですけど、本作ではその点をもっと具体的に細かく解説しています。
「本を読める」と言う読解力とは違った切り口で論じる必要性もあることから、その読解力のことを「シン読解力」と命名している訳です。
まぁ便乗なのも確かだと思いますけどw。


1番のポイントは普通に話されたり、書かれている文章である「生活言語」と、学習や研究に使われる「学習言語」を切り分けているところ、
そしてこの「学習言語」を習得していないときちんとした学習の理解ができず文章の「読解力」が著しくしてしまうと言うものです。


「ほんまかいな」
なんですけど、ほんまなんですよねぇ。
少なくとも僕については当たっていました。
「数学語」が全然わかんないって言う点において。

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この問題が「数学語」が絡む問題で、この答えは「①②③」になります。
解説を読んでようやくなんとなくわかったんですけど、「④」がなぜ対象にならないかについては理解できるまで2、3日かかりました。
「数学」が苦手のは学生時代から自覚していましたけど、そのことを徹底的に指摘された気分です。


「数学」だけじゃなくて、それぞれの科目に、それぞれの科目にそれぞれ特有の「学習言語」があることが、本書では解説されています。
「数学」以外はそこまで理解ができないっていうのはなかったんですけど、それでも確かに言われてみれば、普通の話言葉とは違うところがあるなとも…
こういうところで引っかかって学習が頓挫しちゃうっていうのは確かにあるかもしれません。
逆に言えばそこをフォローしていくことで、学習成果を上げていくこともできるというのが本書の指摘になります。
どこまでそれが現実的なのかどうか僕にはわかりませんけど、それを裏付けるデータも提示されていますし、納得感はあるかな?


RSTというのは、
「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」を「自力で読み解く力」
を計るテストです。
そしてAIを使う上においてもっともポイントとなるのは、
「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章で指示する」こと。
そういう意味で言うと、RS Tと言うのは、AI時代にふさわしいテストなのかもしれません。
今、国語教育では「論理国語」と言う教科があるはずですけど、そこに「学習」と言う視点を盛り込んだのがRS Tとも言えるますかね。
「論理国語」がRS Tの結果にどういう風に反映している来るのかなどもちょっと興味があります。


今更「数学語」を勉強し直す気は無いですけど、RS Tは受けてみる方がいいかもなぁ。
その前に、本書に付属しているトレーニングなんかもやってみましょうか。
そしたら、もうちょっとChatGPTに的確な指示ができるようになるかもしれませんしねw。


追記
本書が書かれた時点では、ChatGPTは東大の試験には合格していませんでしたが、その後o1が東大合格ラインを超えています。
ChatGPTは、感情面の理解も深めつつあるので、もしかしたら生活言語と学習言語の橋渡しのようなこともAIができるようになるのかもしれません。
まぁ、だからって、人間が学習をしなくて良くなると言うわけじゃないですけどね。
…多分。


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