・テクノ新世 技術は神を超えるか
著者: 日本経済新聞社編(円城塔、津村記久子ほかとのコラボ小説収録)
出版: 日本経済新聞出版(Kindle版)
日経新聞で連載してるのは認識してたんですけれども、なかなか全部の記事を読むって言う機会が持てず…
まぁ自分が怠惰なだけですけどw。
なので、書籍化されたの経緯にまとめて読んでみることにしました
現時点での科学技術の最先端の状況をわかりやすく概略するって言う作品ですかね
中心になるのは、AI 。
取材した内容をまとめたのに併せて哲学者や科学者なんかのインタビュー、さらには小説家とのコラボ作品をまとめています
第1章 岐路に立つ人類
1 親切なAIは人を衰退させるか 「人新世」終わらせる技術
2 国民の意見、8割が偽投稿 19歳が揺るがした民主主義
3 「3人の親」から子ども誕生 技術が変える家族のカタチ
4 インド1億人超「アプリ婚」 人生の選択、AI頼みに?
5 「理想郷」装う監視国家 ビッグ・ブラザーが姿現す日
第2章「神」の領域へ挑む
1「超人類」の時代迫る 脳で念じアバター操作、第3の腕自在
2 転生したらクローンだった 「故人と再会」かなえる技術
3 あすの天気は人工雨「雲」争奪戦、新たな国家間の火種
4 絶滅防ぐ「ノアの箱舟」を月に 670万種の未来、人類が左右
5 新入りはヒューマノイド 医療も工場作業も人手不足救う
第3章 国家サバイバル
1 台湾、有事に「デジタル遷都」 ウクライナでも切り札に
2 北朝鮮の「電子の監獄」破れ 独裁に立ち向かうハッカー
3 「ムーンラッシュ」へ号砲 命の水、誤差100mの争奪戦
4 「シリコンの盾」攻める中国 陣取りから「人取り」合戦
5 沈むモルディブに水上都市 気候難民、始まった大移動
第4章 理想を求めて
1 AIに善意は宿るか「ゴッドファーザー」が憂える数式
2 夫婦の家事分担、不公平なくします 数理で導く「納得感」
3 1日100錠、今日も私は若返る 人類寿命250歳への野望
4 人間不在の「イーサリアム」 経済圏 アフリカで急成長
5 スマホ一つで変えた環境規制 「あなたも政府を動かせる」
コラボ小説「長い豚の話」円城塔
コラボ小説「サラと気難しい人たち」津村記久子
個人的に興味のあるAI関連の技術に加えて、デジタル民主主義なんかの話なんかも出てきててなかなか面白かったです。
気候変動の話なんかも、この暑さ続きでリアリティ増してますしねぇ。
クローン周りのサービスとか、「ここまで来てるのか」と驚くようなものもありました。
技術の進歩がAIも絡んで、急速になっていく中で、倫理性との兼ね合いが難しくなってきているっていうのが、全体としてはよくわかります。
スピード感のギャップが何とも…
コラボ小説のほうは最近の実力のある2人だけに両方とも面白かったです。
ちょっとディストピアっぽい方向に触れちゃうのはまぁ仕方がないですけど、津村さんの作品なんかは、そういう中でも社会の中での技術のあり方を見せてくれています。
最近Open AIがGP Tのボイスモードに関して「依存」のリスクがあると言う発表をしていましたが、わからなくもないかな。
この作品の設定なんかボイスモードですぐにカバーできそうですからね。
まぁ、僕は話し相手ができるのを楽しみに待ってるんですけどw。
こういう作品を読んで、技術の現状について、見取り図が頭の中に入れておくっていうのはそれなりに意味があることだと僕は前々から思っています。
そういう観点で読んでおくのには適した作品なんじゃないでしょうか?
もっと踏み込んで知りたいと言う人にとっては物足りないかもしれませんけどね。